平成の初め、バイトに明け暮れる不良学生は、田舎の祭りを泊まり込みで手伝う仕事を紹介される。迎えのバスに乗ってから、『風習』として要求される奇妙な事柄。 ひとつひとつは小さな、しかし決定的な違和感と忌避感を積み重ねていって辿り着く結末は不穏で、全てが詳らかにならないからこそ恐ろしいものの気配が確かに残ります。想像と考察を巡らせるほどに、ぞくりとするような人間の悪意と垣間見える恐怖の種類について、嫌な余韻が存分に残る怪談です。