密やかな奇想、ささやかな悪夢

 糸巻き工場の仕事、拾ってきた人魚、深夜ラジオに紛れる声、同じ時間にベルを鳴らして過ぎていく自転車。妙な現実味を帯びた異様なものたちは、水面の泡のように不意に浮かび上がっては消えていく。
 奇妙で鮮烈な幻想の掌編集。不思議な読後感が楽しめます。