夢幻行路を往く先は

 いくつもの時代、いくつもの状況、いくつもの位置。幻想と予兆に満ちた世界を、「夢路」はいつでも兄として彷徨する。どの情景も美しいのに、どこかに傷を隠しながら、寂しい別れを孕むようにも見える。それが誰にとっての別れなのか、誰が置いていかれるのかはおぼろげにしか分からない。だからこそどの世界も確かな感情に溢れていて、忘れがたい痕を遺す。
 SFであり、ホラーでもあり、幻想でもあり、奇譚でもある。様々な夢を詰め合わせた、読み応えのある連作短編集です。どぷりと夢に浸ってください。