奥越奇譚

作者 美木間

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★★★ Excellent!!!

福井県の奥越で筆者に伝えられた怪奇譚である。

雪を呼ぶ雪起こし
生きた人魂が起こした道連れの怪。
山のものたちの領分を侵したがゆえの化かし話。
山の衆たちとの交流と意趣返しを描いた椀貸 膳貸の逸話。

迷信を信じない祖父が体験し、筆者の父に語った話にはたんたんと科学的な解釈が添えられており、幽霊の正体見たり枯れ尾花、と落着する。

が、果たしてそうだろうか。迷信を信じないからといって、迷信の根源がすべて科学的に説明がつくものなのか。

奥越の伝承がとつとつした方言で紡がれる。
語り部の口から直接うかがってみたいお話。

民俗学的な資料としては「椀貸 膳貸」をぜひとも一読されたい。

★★★ Excellent!!!

怪奇現象とはいえ、それも日常。と、目に見えない不思議なものと共存していた時代の、ピリッとした怖さが味わえる物語です。
しかも、おじいさんが本当に見聞きした話となると、もしかしたら今もどこかで同じことが起きているのではないかと、背筋が寒くなります。
パソコンの画面から目を逸らした瞬間に「あっ、今うしろを振り向きたくないな」と怖くなったのも、怖い物語を読んだ後の醍醐味ですね。ふたたび物語に浸りました。
民俗資料としても大変貴重な物語。
一文一文読み進めるたびに、その時代ならではの、懐かしく、生ぬるいような、なんともいえない物語の気配に包まれていくのも、不思議な体験でした。

★★★ Excellent!!!

雪の深さ、山の深さに、何かが宿る。
日本の山奥には、不思議なことが普通にあったのだと思うと、その地域の伝承に興味が湧きます。
他の話も気になります。

他の話も読んだので、追記です。

山の不思議や怪しい伝承に、ひやりとしたものを感じるのは、人の営みが、人も含めた様々な生きものの犠牲の上に成り立っているからかもしれないと、この話を読んで考えさせられました。

好奇心と怖いもの見たさで、この地域の話をもっと読んでみたくなりました。