怪事と郷愁

 戦前の奥越、その山里を舞台に伝えられる不可思議なものたちの奇譚。異界と人里の距離は近く、日常に寄り添うように奇妙なことどもは現れる。派手さもケレン味もなく、淡々と描かれるさまざまな怪異。「人玉狩り」では、かつての生活の中では生死の境界というものが分離されることなく地続きであったのだということを感じさせます。
 仄かな懐かしさと、少しだけぞくりとするような怖さ。そんな奇譚集です。

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