概要
不思議なことや怪奇現象が、日常に存在していた、父の故郷の山里の実話
異界とつながっていると言われている洞がある、奥越の山里の実話です。
父の父の時代、戦前の話です。
村医者の助手をしていた父の父、すなわち私の祖父は、迷信を信じない、科学で現象を解明しようとする人だったそうです。
祖父は、信じはしなくても、排除はしない人だったので、不思議な体験をすると、父に語ってくれたそうです。
「カクヨム異聞選集 ~本当にあった怖い話・不思議な体験コンテスト~」の最終選考対象作品として選出されました。
星、レビュー、ハート、コメント等で応援してくださった皆様、ありがとうございました。
※続編はこちらになります。
「奥越奇譚拾遺」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884526082
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!祖父の代、山里に巣食う何か。
福井県の奥越で筆者に伝えられた怪奇譚である。
雪を呼ぶ雪起こし
生きた人魂が起こした道連れの怪。
山のものたちの領分を侵したがゆえの化かし話。
山の衆たちとの交流と意趣返しを描いた椀貸 膳貸の逸話。
迷信を信じない祖父が体験し、筆者の父に語った話にはたんたんと科学的な解釈が添えられており、幽霊の正体見たり枯れ尾花、と落着する。
が、果たしてそうだろうか。迷信を信じないからといって、迷信の根源がすべて科学的に説明がつくものなのか。
奥越の伝承がとつとつした方言で紡がれる。
語り部の口から直接うかがってみたいお話。
民俗学的な資料としては「椀貸 膳貸」をぜひとも一読されたい。 - ★★★ Excellent!!!これぞ日本の怖い話!そうそう、こんなホラーが読みたかった!
怪奇現象とはいえ、それも日常。と、目に見えない不思議なものと共存していた時代の、ピリッとした怖さが味わえる物語です。
しかも、おじいさんが本当に見聞きした話となると、もしかしたら今もどこかで同じことが起きているのではないかと、背筋が寒くなります。
パソコンの画面から目を逸らした瞬間に「あっ、今うしろを振り向きたくないな」と怖くなったのも、怖い物語を読んだ後の醍醐味ですね。ふたたび物語に浸りました。
民俗資料としても大変貴重な物語。
一文一文読み進めるたびに、その時代ならではの、懐かしく、生ぬるいような、なんともいえない物語の気配に包まれていくのも、不思議な体験でした。