外見は少しコワモテ、中身はゆるふわな感じの男性ライターが、仲のいい人たちと日常系怪異と関わっていくお話です。登場人物は皆個性的で、その背景を想像しながら読むととても楽しいです。いい歳をした大人たちが、わちゃわちゃしながら彼らなりに真面目に(?)怪異と関わる姿を見ていると、その最後尾についていきたくなります。全110話ですが、ほぼ一話完結なので少しずつ読み進めたい方にも、また、全26万字強あるので、一気にたくさん読みたい方にもおすすめです。私は実話系怪談を好んで読む方なのですが、そんな方にもおすすめです。
普通の人々の生活に、落とし穴のように出現してはまた消える、ささやかだったり思いのほか深刻だったりするような『不思議なものたち』。それらを自然に、ごく当たり前のようなトーンで語っているので、より身に迫ったものとして感じられます。また一話一話が読みやすく、基本的にはどの話も独立した連作短編でもあるので、気軽にさくさくと楽しく読み進められます。 過剰でも大げさでもない、ごろりと横たわるような怪しい話。良質な恐怖です。
もっと見る