日常、ときどき恐怖

 雨の中の電話ボックス、学校で囁かれる噂話、夜闇に響く時計の秒針音。日々見慣れたはずのものたちは、ふとした瞬間に見知らぬ異貌をさらけだす。歩き慣れた安全な散歩道が、一歩踏み外せば奈落へ落ちるような頼りないものだと気付いた瞬間の驚愕。じわじわと忍び寄る恐怖が、日常を齧り取っていく。
 どこから読んでも怖い、ぞくりとする短編集。