怖いお話2

目箒

神罰

 通りかかったら鳥居があったのでお参りでもしようかと思って立ち寄ったら寺だった。昔神仏混合だったときの名残で、寺には鳥居があるところがあるらしい、と言うのを私は縁起で知った。事実、併設もされているらしい。

 お参りしようと私が進んで行くと、なにやら騒がしい。何気なく聞き耳を立てていると、どうやら何かが盗まれたらしかった。罰当たりだ。

 一人の坊主をつかまえて参拝の可否を問うと、一も二もなく了承してくれた。とは言え、もうすぐ警察がくるだろう。邪魔にならないように早々に退散しなくてはならない。

「大変ですね」

 お参りを済ませて、見送ってくれる坊主を労うと、彼は頷いてため息を吐いた。

「ええ。よりによって神社の方で盗みを働くとはね。仏は罰ですが神は祟りますから……」

「ああ、そう言う違いがあるんですね」

「一般的にそう言われています。ええ、犯人はすぐ見つかるでしょうね」

 その坊主は何度も首を縦に振っていた。


 彼の言葉がなんとなく耳にのこっていたせいか、数日後、その死亡記事はすぐに私の目に付いた。見出しが派手でもあった。

『神社泥棒、高速道路で炎上』

 高速で車が横転し炎上。運転手は死亡したとのことだ。車のトランクからは、神社が盗難届を出した物品が奇跡的に無事な状態で発見され、警察は事故、被疑者死亡で送検するとのことだった。


「犯人はすぐ見つかりますからね」

 あのとき坊主はそう言って、私が袖に仕込んでいた鍵開け道具を抜き取った。

「ですから、変な気は起こさない方が良いですよ」

(鍵、鳥居、寺)

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