概要
伯爵家の養女でありながら役立たずと罵られて育ってきた少女・トリンティアが、姉の代わりとして、銀狼国の王城へ侍女見習いの奉公にあがってから、ひと月が経とうとしていた。
ある日、同僚達の悪戯でトリンティアがぶつかってしまった相手は、『冷酷皇帝』と恐れられる新皇帝・ウォルフレッド。
人知を超えた『銀狼』の血をその身に受け継ぎ、銀狼国を統べる青年皇帝には、不穏な噂がつきまとっていた。
「申し訳ございません!」
どんな目に遭わされるのかと震えながら詫びるトリンティアを、ウォルフレッドは無理やり私室へ連れて行き――
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!互いに欠けていたものは「アイ」
最初は「よくあるかなぁ」と思っていましたが、ところどころ「おや、これは化けるぞ!」と思いながら読み始めました。評価される理由があります。
物語の緩急のつけ方が実にお見事で、甘さとほろ苦さの絶妙なバランスで、クレームブリュレを食べているかのよう。
読者の方へ向ける作者様の言葉からはキャラに対する、真摯な思いと愛情を感じます。決して、「自分好みに造り上げたキャラ」ではなく「舞台に降り立った俳優」としてキャラを動かしているような印象を受けました。このようにキャラを動かせる方はやはり、才能があるのだろうと思います。
ネタバレはあえて書かないようにして、一言感想の方に載せました。
短い感想にも素…続きを読む - ★★★ Excellent!!!乙女は愛され、美しく花開く
この物語は、不憫な彼女と冷酷と噂される皇帝が出会ったところから、花開く運命と共に回り始めます。
主人公は、かつてないほどの不憫な少女です。
伯爵の養女なのに酷い虐待を受け、王宮で侍女見習いをしていてもいじめを受け、その後も連続でとんでもない酷い目に遭っていきます。
そんな不遇な彼女ですが、真っ黒な環境に負けずに、ひっそりと美しい心を咲かせたまま生き続けています。
本当に力いっぱい応援したくなるくらいの良い子で、読まれた方は自然と感情移入していくこととなるでしょう。
お相手の皇帝は、最初こそあんまりな呼称で主人公を呼び続けていますが、彼の天然ぶりを知っていくうち、抱えている事情を知るうち、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひとたび渡り始めたら、最後まで揺れ続ける吊り橋のような物語
銀狼国の皇帝は銀狼の血を受け継ぎ、その血によって強大な力を発揮するというのです。が、その代償として肉体に激しい痛みを受け続けることになる。その痛みを癒すことのできる唯一の存在が「花の乙女」と呼ばれる特殊な力を持つ女性たちでした。
「冷酷皇帝」の異名をもつ皇帝ウォルフレッドは、激しい皇位争いを勝ち抜いた若者ですが、残酷であるとの噂が絶えません。
その冷酷皇帝のもとへ侍女として召し抱えられたトリンティアは、貴族の養女ではありましたが、激しい虐待に遭った過去を持つ薄幸な少女。そんな彼女がある日、仲間の意地悪で、誤って皇帝ウォルフレッドと王宮の廊下でぶつかってしまうのです。
恐れおの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!冷酷皇帝は鶏がらに癒され、まどろむ
養父に虐待を受けて育った少女トリンティア。王城に奉公に出されるも周りの女たちからいじめられる毎日。しかし、突然あることがきっかけで侍女見習いから皇帝陛下のおそばに仕える身へとランクアップ。
想像もしなかった展開に戸惑うトリンティアですが、彼女はある特別な力をもっていたのでした。
虐げられた少女が幸せをつかむ物語ですが、ただのシンデレラストーリーでは終わりません。抱き枕ってなに!? の疑問は読み進めるうちに明らかになります(笑)
流麗な筆致で物語はスピーディに結末へ。
トリンティアがおいしいものを食べるシーンがほっこりします。
皇帝の脇をかためる側近、ゲルヴィスとセレウスがよい味を出し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その美しい物語に魅了されよ、花の乙女と銀狼の恋の行方に注目!
銀狼国の冷酷皇帝ウォルフレッドは銀狼の血筋を継ぐものです。
銀狼への変化の能力故に激痛に苦しめられて、苦痛の日々を送っていました。
陛下の苦痛を癒せる存在が唯一あって、それが花の乙女。そうヒロイン、トリンティアなのでした。
トリンティアは陛下の傍に侍るようになりますが、虐げられた辛い過去ゆえ、陛下に対して怯え、自信がなく、痩せっぽっちで鶏ガラと呼ばれる始末。
そんなトリンティアと陛下の間に芽生える恋を描いたストーリーです。
流れるような文章の美しさが素晴らしく、勉強になるわ~と技術を盗みながら(盗めてないけどね)、ドキドキと危うい場所に踏み込んでいくような心のやり取りに感銘しつつ、ああ、楽…続きを読む - ★★★ Excellent!!!彼女はきっと、これから花咲く、つぼみの乙女
銀狼国の男性皇族は、人知を超えた『銀狼』の力と、その代償をその身に受けます。
そして、そんな彼らを癒やすのは『花の乙女』の女性たち。
『花の乙女』を求めていた皇帝ウォルフレッドと、自分が『花の乙女』であることを知らずにいたトリンティアが出逢うことで、物語は始まります。
幼少時に虐げられてきたために、自分を否定してばかりのトリンティア。
彼女の言動や、大きな勘違いは、ちぐはぐでおかしいとも言えるのですが、読み進めていくうちに応援せずにはいられなくなってきます。
「そうじゃないから!」「そんなんじゃダメでしょ!」と、背中を押してあげたくなるのです。
そして、徐々に明らかになっていく真実に、「…続きを読む - ★★★ Excellent!!!じれじれ甘々、でもしっかりピンチもある恋愛異世界ファンタジーの良作☆
伯爵家の養女とは名ばかりの扱いを受けていた主人公のトリンティア。
彼女は銀狼国の王城へ侍女見習いの奉公にあがることに。
そして王城で『冷酷皇帝』と呼ばれるウォルフレッドに出会い、トリンティアの運命の歯車が回り始めます!
トリンティアはウォルフレッドが探し求めていた『花の乙女』なのですが、彼女は伯爵家で虐げられていたこともあり、自己肯定感がとても低く、まともにウォルフレッドと相対することができません。
ウォルフレッドのほうも『冷酷皇帝』と呼ばれるだけあって、大きな態度をとりがちでトリンティアを恐がらせます。
こんな感じでラブきゅんな展開が訪れるのかと疑問に思うかもしれませんが、そこをしっかり…続きを読む