王太子妃の侍女の仕事をしているリドリアは、結婚願望がある。が、恋愛に興味があるわけではなく、すべては自身の伯爵家再興のため。
元伯爵令嬢であるリドリアの両親はすでになく、女手ひとつで弟を育て、ゆくゆくは弟に伯爵家を再興してもらうのが、彼女の望みだ。結婚をのぞんでいるのも、その伯爵家再興ひいては弟のためである。すなわち、体面を整えたいのだ。
そんな彼女の前に、ひょんなことから現れた近衛騎士団のクールな騎士アレックス。彼も偶然、体面を整えるために何でもいいから婚約者っぽい人を探していた。そう、婚約者ではなく、婚約者っぽい人だ。
そこで二人の利害は一致する。そして、それが果てしないドタバタ劇の始まりであるのだ。
二人の偽装を疑う、政敵たち。横からちょっかいを出す王族たち。そして、早く結婚しろと圧をかける周囲の有象無象。さらには王国が。果ては国際問題に。
とにかく笑えます。
いい作戦だと思って偽装婚約する二人ですが、なにせ恋愛経験ゼロ。リドリアは優秀な侍女ですが、格闘術の心得があるからやたら手が出る。近衛騎士団副団長のアレックスは剣の達人だが、無口でぶっきらぼうで無表情。
そんな二人にそもそも偽装結婚なんて無理なのである。
愛し合っていない二人をくっつけようとする周囲の状況。当人たちの意志と無関係に動き出す運命。まさに、逆「ロミオとジュリエット」状態。
でも、なぜでしょう？
偽装結婚のはずの二人ですが、ピンチに陥ったときの危機回避の呼吸はぴったり。見事な連携で切り抜けてゆくのです。
まず、ヒロインのキャラが最高です。
いつも一生懸命で、まっすぐで。まったくもって男に対して鈍感、媚びない。その上、思ったことは言いたい放題のリドリアが、なんと偽装結婚することに。（そこまでの内容は本編をお読みください）
こんな女性がいたら、わたしは親友になりたい。そんな素敵な伯爵令嬢リドリアだから、彼女が仕える王太子妃も、彼女のことが大好きなんだろうと思います。
そして、心配もしています。
弟のために自分の人生は二の次、犠牲にしているんです。
さて、この素敵女子の前にあらわれたのが、これまた女心に鈍感な近衛騎士アレックス（お約束です。これじゃないと面白くない）。
猟犬と呼ばれる有能な男で、女心などまったく知らない。不器用だが、正義感に溢れ、男ぽい魅力にあふれるアレックスです。
このふたりの利害が一致しての偽装結婚は、どんどん、どんどん、それこそ地の果てまで思わぬ方向へ。
どの１話でも、必ず笑えます。
ふたりの性格と行動のちぐはぐさで、それ偽装なの？ってほど、読んでる多くの人がツッコミながら笑っている姿が見える本作品。
読みやすく、とっても楽しいです。
嫌な気分のときに、この作品を手に取れば、きっとあなたを幸せな気分にしてくれることでしょう。
どうぞ、お読みくださいませ。
有能で弟に武芸の手ほどきまでできる王太子妃つきの侍女のリドリア。
偽の手紙に騙された彼女を救ってくれたのは、王太子の近衛騎士である美貌の青年アレックスでした。
利害の一致から偽装婚約をすることになった二人なのですが……。
妥協の結果の二人に対して、周囲からは予想外の大きな反応が！
あれよあれよと外堀が埋められ、それどころか高い壁か築かれ、「偽装です」なんてとてもじゃないけれども言えない状況に……っ！
しかもこれが、善意で進められるのがタチが悪い！（笑）
翻弄される二人の未来はどうなるのか！？
コメディの要素もたっぷりですので、にまにま笑いながら楽しめます(*´ω｀*)
気になる方はぜひぜひお読みくださいませ～！(*´▽｀*)
早くに両親を亡くし、弟を育てながら王太子妃の侍女をしている、伯爵令嬢のリドリア。
健気で素敵な女性なのですが、21歳で未婚。婚約者もいない彼女を冷ややかな目で見られてバカされることもしばしば。
しかし、そんなリドリアの前に現れたのがアレックスという侯爵家の息子。
彼は周りから早く結婚しろと言われているものの、本人は結婚には興味なし。
周りをどうにか黙らせたいと思った彼は、なんとリドリアに偽装婚約をしないかと持ちかけたのです！
偽装婚約ですよ偽装婚約！
形だけでも婚約をしておけば、
周りからギャーギャー言われることはない。本当は結婚するつもりはありませんけど、とりあえず体裁を保てればそれでいいというのが、彼の言う偽装婚約。
とんでもない提案ですけど、リドリアはこの話に乗ってしまうのです！
これで周りが静かになってくれればいい。
そう思っていたけど……2人の意に反して、周囲はもう大盛り上がり。
話がどんどん大きくなっていって……あの、今さら結婚する気なんてありませんなんて、言えるのでしょうか？
降りかかる様々な災難を、リドリアとアレックスは乗り越えていけるのか？
そして結婚はするのかしないのか!?
笑わずに入られない、偽装婚約ラブコメです！
弟を育てるため、いまだ未婚で婚約相手もいないリドリア。本人はそれでも別に構わないのですが、世間の目は冷たい。
そんな彼女の前に現れたのは、侯爵の息子、アレックス。
彼も、結婚については色々事情を抱えています。と言うか、恋愛するのがめんどくさい。なのに周りは結婚を勧めてくる。
そこで彼が提案したのは、自分とリドリアの偽装婚約。愛すべき婚約者同士ですよと言うことにしておけば、周りもいちいちうるさいことを言ってこなくなります。偽装なので実際には愛などありませんが、お互い納得しているので問題なし。
しかし、順風満帆かと思われた偽装婚約に、次々とトラブルが。
アレックス側の事情で、二人の婚約に反対する者や、アレックスと強引に婚約しようとする者など。そんな自分勝手な思惑に振り回されるアレックスを見て、リドリアは思うのです。いざとなったらアレックスを切り捨てようと。
いやいやまてまて！ そこはアレックスの境遇を見て彼のことを思い、偽りの婚約のはずが本当に好きに、なんて展開じゃないんかーい！
最初は嘘でも、本当に好きになるというのが、偽装婚約だのカップルだのの定番。しかしこの二人、なかなかそんな空気にはならないのです。
それどころか、もう面倒なので別れたいリドリアＶＳ自分の都合のために別れたくないアレックスという、別の攻防戦まで見えてきそう。
もちろん、二人の仲を祝福する人だってちゃんといますよ。いますけど、あくまで偽装婚約なので、そこまで祝福されるのも悪い気が……いや、本当に一言おめでとうって言うくらいでいいんです。そんな全力で外堀埋めるようなことしないで！ 後で別れにくくなるから！
面倒事回避のための偽装婚約なのに、なぜかどんどん騒ぎが大きくなっていく。
その先にあるのは、真実の愛か、それとも爆笑か!?
結婚どころか婚約者すらいないことを焦るリドリアは、怪しげな恋文を信じた結果、恥をかかされそうになる。が、そこへ見知らぬ男性がやって来て彼女を窮地から救ってくれたのだが……？
婚約者だけでも早く決めたいリドリアと、おせっかいな周囲を黙らせるため婚約者を見繕いたいアレックス。二人の利害が一致し、偽装婚約することにした、のだが。
周囲が二人にあまり関心がなく、「婚約しました！」「あら、おめでとう！」で終了なら、二人の計画もすんなり達成できたのでしょうが。
親族、上司、同僚と周囲から愛されまくっている二人。
周囲は彼らを放っておいてはくれません。
二人が恋愛に不得手だと見るや、あれこれそれと大いに世話を焼いてくれます。
気づけば、あれよあれよと外堀が埋まる二人。
偽装に偽装を重ねていくうちに、のっぴきならない状況にまで追い詰められていく。
さらに、この二人の婚約を邪魔したい人物まで登場し、リドリアは身の危険すら感じる羽目に。いっそ婚約破棄しても良い状況なのですが、お人好しな性格もあって、一人逃げきるわけにもいかず、偽装のパートナーアレックスと共にますます厄介ごとに巻き込まれて行って……。
畳みかけてくる周囲の祝福と、必死にあらがおうとする偽装カップルの攻防が面白い。
またリドリアとアレックスのキャラクターもサバサバしていて小気味いいです。
特にリドリアは、西洋風の世界観なのですが、凛々しい侍っぽいっていうか、めちゃくちゃ肝が据わっててカッコいいのです。他の令嬢なら怯えて泣き出しそうな場面も、冷静にできることを見極め、それがすめば「お腹空いたな」とか考える余裕すら見せる。
そんな彼女と偽装を組むアレックスも冒頭は問題発言で評価を下げますが、案外優しいところもあって好感度は徐々に上がって……いってますよね？？笑
偽装から始まった二人の関係。ある意味、息はぴったりなのですが、甘々とは程遠いやり取りも終盤、変化していくのか、しないのか。
続きが楽しみな作品です。