周囲がソレを許さない！

結婚どころか婚約者すらいないことを焦るリドリアは、怪しげな恋文を信じた結果、恥をかかされそうになる。が、そこへ見知らぬ男性がやって来て彼女を窮地から救ってくれたのだが……？

婚約者だけでも早く決めたいリドリアと、おせっかいな周囲を黙らせるため婚約者を見繕いたいアレックス。二人の利害が一致し、偽装婚約することにした、のだが。

周囲が二人にあまり関心がなく、「婚約しました！」「あら、おめでとう！」で終了なら、二人の計画もすんなり達成できたのでしょうが。

親族、上司、同僚と周囲から愛されまくっている二人。
周囲は彼らを放っておいてはくれません。
二人が恋愛に不得手だと見るや、あれこれそれと大いに世話を焼いてくれます。

気づけば、あれよあれよと外堀が埋まる二人。
偽装に偽装を重ねていくうちに、のっぴきならない状況にまで追い詰められていく。

さらに、この二人の婚約を邪魔したい人物まで登場し、リドリアは身の危険すら感じる羽目に。いっそ婚約破棄しても良い状況なのですが、お人好しな性格もあって、一人逃げきるわけにもいかず、偽装のパートナーアレックスと共にますます厄介ごとに巻き込まれて行って……。

畳みかけてくる周囲の祝福と、必死にあらがおうとする偽装カップルの攻防が面白い。
またリドリアとアレックスのキャラクターもサバサバしていて小気味いいです。

特にリドリアは、西洋風の世界観なのですが、凛々しい侍っぽいっていうか、めちゃくちゃ肝が据わっててカッコいいのです。他の令嬢なら怯えて泣き出しそうな場面も、冷静にできることを見極め、それがすめば「お腹空いたな」とか考える余裕すら見せる。

そんな彼女と偽装を組むアレックスも冒頭は問題発言で評価を下げますが、案外優しいところもあって好感度は徐々に上がって……いってますよね？？笑

偽装から始まった二人の関係。ある意味、息はぴったりなのですが、甘々とは程遠いやり取りも終盤、変化していくのか、しないのか。
続きが楽しみな作品です。