第28話 望まぬ歓迎
パイセンがヘッドギアから内蔵されたバイザーを
各所に仕込まれた光学カメラや暗視カメラと思われる小型レンズが認められるが特殊な表面処理により光を反射しない。
マッドギアの世界も中々どーしてトンデモハイテクな世界なのである。
中でも秀逸なのが装甲板の構成物質である情報受容体とナノマシンの存在である。
只の金属か樹脂っぽい板に見えるが受容体が熱・赤外線・紫外線・音波等々の飛散してる情報をパッシブに受け止める、何なら埋め込まれたカメラの画像データすら同時に受け止める。
端的に言えば装甲板そのものがセンサーになっているのだ。
それらの情報が受容体内のナノマシンに入力されるとタイムラグ
ここで上手いこと出来ているのが情報がオーバーフローするとナノマシン間の非接触情報同期が物理的にカットされる点である。
何のことは無い、閾値以上の情報が単純に
僅かな時間の集中で無数の情報を受信したパイセンは感覚的に隠し扉の位置を察する。
〈サエキさん、そこの壁だ〉
〈オーライ〉
今度は俺ちゃんの出番である。
テレキネシスに起因する空間把握能力は乱暴な言い方をしてしまえば「その空間内に存在する物をテレキネシスでウッスラと触って知覚している」と表現できる。
結果として空間内を脳が“視える”という感覚で処理しているのだ。
そして目を凝らす様に集中すると、対象物の内部構造まで空間さえあれば“視えて”くる。
今回は示された隠し扉に集中して内部構造を把握していく。
隠蔽技術は高かったものの扉自体の構造は簡単なもので単純なギミックで開けられる…連動した罠の類も無いようだ。
もし仮に施錠されてたとしても鍵自体の構造を把握してロック機構をテレキネシスで動かしてしまえば容易く解錠してしまえるだろう。
――――カチャリ――――
乾いた音が響き、そのままテレキネシスで扉が開かれていく。
〈
〈
ポイントマンは俺ちゃん、カヴァーはパイセン♪ぉぅぃぇ。
妙なノリで夫々の愛銃を構えながら次々とクリアリングしていく、テンポは8ビートだ。
どうやらこのエリアはリビングや簡易キッチンに寝室といった生活空間の様だ。
エリアを仕切るような扉をくぐると不意に灯りが点き、何かの駆動音が静かに響き出す。
〈動体センサー?設備が生きてる?〉
〈今のところ退路は塞がれてない、進むか?〉
〈逃さぬ自信があって点灯したなら前進して喰い破る〉
〈歓迎なら前進…ってどっちも同じって事かwww〉
8ビートでヒートなハートをアンダンテに抑えて歩を進める。
何かの研究施設だった様で生活感の無い部屋が整然と続く。
一番奥に地下へと続く階段があるようだ。
階段を降りると、やや広まった空間に一人の女性が優美な一礼で迎えてくれた。
「ようこそ、お客人」パンツスーツ姿で右手を胸元に当てる様はどことなく執事チックで、額に少しかかるショートヘアーは理知的な女を造型に落とし込んだかの様だ。
「招待状は貰ってないがな…邪魔しちまったかな?」直ちに攻撃する意志が無い事を左手を挙げながら示し、右手でバックサイドホルスターに銃を収める。
「入り口に呼び鈴も付いてなかったから勝手にあがらせて貰ったが…ここは私有地か?我々は遺跡調査の先遣隊だ」パイセンも銃をしまいながらシレッと公的機関っぽい雰囲気を匂わせる。
「こちらは賢者アメイの研究所に御座います、遺跡を模したガワはソレを見抜ける方を選定する為のモノですからどうかお気になさらずに。私は研究所の管理を任されております…そして」徐ろにフィンガーチップを響かせると背後から二回りは大きい人影が現れる。
「俺は管理補佐と言ったところだな」少々ゴツいが均整の取れたジャーヘッドヘアーの男が女に並ぶ、両者が目を赤く光らせながら宣言する。
「
ヤダ、ちょっとカッコイイ…
ちょっと感心してたら、
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