第117話 北の国への考察


 円卓都市上空一万メートル、SPF飛空船団旗艦アルバトロスの艦橋ブリッジにて作戦会議中の俺ちゃん達。

 会議室は別にあるのだが6人しか居ないので艦橋の情報統制システムを眺めながらの方が雰囲気が出るからだ。

 勿論トリニティ・インテグラU.I.のARとか使えば正直何処でもいーんだけども、雰囲気は大事。


「はーい、初心に帰ってコールしまーす。第2n+1回俺達の明日はどっちだ会議始めまーす」


「何故に奇数www」


「そして真っ白に燃え尽きそうなタイトルコールですね(苦笑)」


「こーゆーのは雰囲気が大事なの、試験に出るからなー」


「なんか雑だなwww」


「しょうがないですねぇ(苦笑)本題としてはまずはメインパネルの地図を見てください。青い国境線で囲われてるのが連合諸国、赤い国境線で囲われてるのが連合諸国への侵攻を企ててた国です」


「赤も青もそれ以外も小国が多いなー」


「そんな中で比較的領土が広い国が赤くなってるな……もしかしなくても戦国時代だった的な感じ?」


「突出した軍事力を持つ国が無かった為に領土を取った取られたの細かい紛争や、広げた領土を統治しきれずに反乱が起きたりと中々にカオスな状況になってたみたいですね」


「そんな中でタイミング的に領土を広げてて余裕があった国が自由都市周辺国に食指を動かした結果、危機感を覚えた周辺国が連合を発足したってワケねw」


「んで中途半端に国力を上げた赤い国々が振り上げた拳の落とし所に困ってるワケだwww」


「同時に複数の似たような国が牽制しあってる状況ですね。お互いに下手に他国に侵攻して横っ腹を晒すわけにはいかない、と(苦笑)」


「下手に連合に絡めばカウンター喰らった上で他の赤い国に侵攻されて国家解体の憂き目に合うって?w」


「国内の整備に努めるって選択肢は無いのかよwww」


「一応路線変更した国はありますけれど、軍事国家ですからいつでも嘴を挟めるだけの余力は残してますねぇ(苦笑)」


「それにしても……面倒くさいなw」


「それなwww」


「(苦笑)」


 結局、今回のお薬事件は赤い国による連合切り崩しの鬼札だったらしい。

 正直、今回のお薬事件の黒幕だった国を地図から消すのはやろうと思えばできる。

 かと言って赤い国の全国民が関与してる訳でもなく、何より喪失される生産力が勿体無い。

 

 じゃあ直接関与は面倒くさいからオイタした国や人物を連合にリークしても国際問題からの戦争一直線な未来しか見えない。

 だがしかし、攻撃を受けた以上報復しないのは俺ちゃん達の信条に反する。

 単純な力技で報復したら国力が弱った所に便乗して切り取りに来る国があるのはまず間違いがないだろう。


 “大いなる力には大いなる責任が伴う”と言う言葉がある。

 ぶっちゃけこの言葉だけ切り取っても意味が無い大嘘にしかならない。

 大いなる力を得るために費やされた努力や労力に目を向けられない連中が、嫉妬したり得られる利益の御相伴に預かりたいが為に唱える言葉に成り下がってるのだ。

 正確には“大いなる力を行使するならば、その結果を想定しろ。そして発生する事案は甘んじて受け入れよ”なのだ。


 今回の場合は下手に赤い国の国力を弱らせると戦国時代に突入する事が容易に想定出来てしまうからお悩み中なのである。

 技術至上主義テックイズムは可能な限りの最大効率を狙う、その為にA.I.によるシミュレーションを重要視するのである。

 戦国時代への突入は本意では無いのだ、少なくとも俺ちゃん達が宇宙進出するまでに地上の資源の無駄遣いとかされると気分が悪い。

 まあ、やってる事のレベルが低いから回復まで長期間かかる深刻な魔法的災害マジック・ハザードとかにまでいかなければ大した問題にはならないんだろうけどさ。


 まー、そーなったらなったで自業自得の一言で切り捨てても構わないのだが、それで切り捨てるには戦乱により衰退する食文化が惜しい。

 近隣諸国の衰退により食料輸出入への悪影響が出るのは間違いないだろう。


 そう、赤い国の存在意義は円卓都市のピザ以下であり自由都市のカクテルやサンドイッチとか以下なのである。

 それに赤い国にも誇れる食文化がある可能性も見逃せない、クダラナイ欲や見栄で喪失させるにはガチで惜しい。


 なんで赤い国にここまで気を使わなきゃいかんのかな?とは正直思うけど……




 首謀者にはエンターテイメント的に、そして社会的に、死んでもらおうかな(喜)



 

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