第116話 円卓都市に吹く異国の風
「あぁ、ピザ美味かったなぁw」
帰り道に素直な感想を宣う俺ちゃん。
「ピザ?……ノンノン、“ピッツァ”www」
「(苦笑)」
うぜぇw
そんな感じで楽しい帰り道、警戒網は最低限の周囲警戒を担うインセクターのみ。
流石に6人いれば鉄壁だろうと円卓都市全域に充分なスパイダーネットを展開せずにザッキーに御行幸頂いたのだ。
当然の如く上空には戦力満載の飛空船団が控えてるので余程の事がない限り盤石なんですけどね。
そんな中で視界の隅でマップデータにチラつく複数の赤く光る
随分前から様子を伺っていたみたいだけど、いよいよ包囲を縮めて来る様だ。
〈どないする?〉
〈今、一人拘束したから暫くそのまま歩いててwww〉
ポイントマークの一つが点滅している、つかパイセン仕事早杉。
何時の間に離脱したんだよw
〈お薬絡みなんでしょうけども、どうしてこのテの人達って同じ様な行動パターンなんですかね(苦笑)〉
〈それなw〉
〈オーケー、どうやら只のチンピラじゃなくて専門の暗殺業者さんの様だ。今回派遣された皆さんは闇討ち特化で背後がお留守なタイプだなwww〉
おやおや、早くも3つのポイントマークがグレーアウトしてらっしゃる。
〈擬装を施したビーストの周囲展開が済みました。適当に蹴散らして逃げた先に訪問しましょう〉
ザッキーのアナウンスと共に散開する中佐と地味子、俺ちゃんも手近なポイントマークにテレポートする。
横綱はザッキーに張り付いている、ボディガード感あるよねw
俺ちゃんに背後を取られた業者さんは、突然現れた気配に反応して振り向きながら飛び退く。
俺ちゃんのチョイスは安心と信頼のサエキボール、但しテレポートさせた念弾は視界の外から業者さんを襲う。
狙い通り膝の裏側で弾けた力の奔流は強烈な膝カックンになり体勢を大きく崩させる。
追撃弾は頭上より次々とテレポートアウトしてきたサエキボール、容赦の無い連撃が業者さんを地面に縫い付ける。
サエキボールは進化しているのだ。
〈出た、新時代の死体蹴りwww〉
〈死体蹴りじゃなくてダウン追い打ちですぅ〜!ダウン無敵とか無いんですから超有効な戦術なんですぅ〜!〉
茶化すパイセンに唇を尖らせて猛抗議してみる、実際下手に飛び込むより確実な攻撃手段なのだ。
……確かに被弾してる側の姿は絵的にちょっとアレなのは否定はしない。
俺ちゃん達による、各々の個性的な攻撃は周囲に被害を出す事なく業者さん達を次々と無力化していった。
旗色が悪くなって逃走した連中もいたが、逃げた先は程なくビースト達に包囲される。
無力化された業者さん達は数珠繋ぎにして横綱に引き摺られてる、猿轡により抑えられた騒音は周囲の環境に配慮した優しさだ。
特に鎧とか着てないからダイレクト大根おろし状態だけど、そちらには一切配慮しておりません。
逃走先は大きな商店だったので商品搬入口っぽい裏口に回ってご挨拶。
「こんちゃ~っす、押し売りしてきた不良品の返品に参りました〜♪」
挨拶は元気にハキハキと、いせげまは児童推薦図書を目指しております。
マップの反応から建物の一角にワラワラと集まってるのは把握してるので、案内無しでウォークイン。
止めようとしてきた従業員もいたけども、先頭を歩く横綱が
集会してる部屋の前に詰めていた黒服は流石に突っかかって来たけれど、横綱の有り難い闘魂注入により腰砕けだ。
ばばーんと扉を開けると逃げてきた連中が折檻されていた……ん〜、チンピラの集まりなのかな?状況把握能力に難アリっつーか、やってる事が素人臭いねぇ。
難なく制圧完了したらお店の責任者も顔を出して来て何か言ってきたけど座らせてOHANASHIする。
どうやら国を跨いで営業してる大店らしいが他国にある本店からの指示で業者さん達をご案内したとの事。
そんでもってこちらは表に出せない部門の現地採用された実行部隊の御一行様らしい、道理で半端な素人臭いムーブをカマしてらっしゃった筈だ。
業者さんのご希望としては俺ちゃん達を拉致した上で他の荷物に紛れさせて本店に出荷する事だったらしい。
パレードしてた俺ちゃん達が薬事件の暴露に大きく加担した者と見て襲撃を企てたとか何とか。
その前に迎賓館一つ更地にしたの知らなかったのかな?調べなかったのかな?
随分とショボい戦力でのエスコートでしたよねぇ。
しかし一つ問題があるのでござるよ。
他国ってのが周辺連合に属してる国じゃあ無いのよね……
こいつはキナ臭くなって来ましたよ。
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