第20話 エクスプロージョン
〈この先に動態反応複数あり、だね〉
〈モンハウかな?www〉
中級ダンジョンをエクスプローラー中、マップさんによると曲がり角の向こうがどうやらフェスティバル会場となってるらしい。
お掃除しますかねー、と肩を回してると一つの反応を先頭にしてこちらに向かってくる。
〈気づかれた?〉
〈いや、このパターンは…〉
突如の爆音が響き、爆風と共に一人の人影が転び出る。
白いタンクトップにブルージーンズ、少し寂しい頭髪に足元は…一応靴は履いてるらしい。
手に持つ拳銃は大胆にスライドを切り取りバレルを露出した優美かつ流麗な逸品だ。
そう彼こそは
「ニトログリセリン
「ブルース・マクレーン警部補!!」
そう、往年の名作の主人公その人なのである。
恐らくブラウン管モニター型爆弾でモンスターハウスを一掃したのだろう。
「あんたらは…いや、済まないが火を貸してくれないか?生憎と手持ちのは吹っ飛ばしちまったところなんだ。それともここは禁煙かい?」
眉根を歪ませながら
「済まない、生憎と切らしててね」
「それに煙草はナイトキャップの時に、と決めていてな。宿屋に置いてきちまった。」
ニヤリと男くさい笑顔で突き出した拳を合わせる男三人。
どうやらこのおっさんは転移トラップを発動させそうになったパーティーメンバーの代わりにモンスターハウスにご招待されたそーな。
「あるんだねー、そんなラノベ的展開wどんなコ庇ったの?かわいいおにゃのこ?」
「しかも転移→モンハウとか結構
「残念ながらプライド高目の若造だな、もう少し自分の能力を含めてモノを疑う事を覚えた方がいいお年頃だな」
何やら苦労してるご様子。
おっさんはトップギルドと交友のある中の上くらいのギルマスなんだとか、運営のお知らせを見てどーしてもニトログリセリン刑事でログインしたくなってしまったらしい…よく分かるぜそのキモチw。
ゲームがリアルになってどーしても命の危険のピンチの安全マージンを取るのが主流になった中、コンバート勢ってのは尖った性能の奴が多くて“使いこなせれば理論上使えるシーンはあるけど正直微妙”って評判らしい。
トップギルドとお付き合いしてたくらいのガチ勢だったのがタンクトップの筋肉中年になって一段下に見られる様になり、攻略ドロップアウト組とか育成中勢の面倒を見るようになったのだとか…まー半分押し付けられたんだろうねー、世知辛いねー。
ちなみにハグレたパーティーとは
うん、実は俺ちゃん達が彷徨いてたのは結構深層なんだ。この層のモンハウを一掃出来ちゃうおっさんも中々の実力者と言えるが…ま、評判は芳しく無いってよ。
敵を倒して入る謎の
パイセンも似たシステムに仕上がる予定だったのに[トリニティ・インテグラ]でアイテム関連のデータがザッキーの超技術文明に統合されちゃったらしい。
―――――――――
「さー、そんなこんなでボス部屋です」
「サクッと倒して地上に戻ろうずwww」
「随分とピクニック気分なんだな…」
さて、ここのボスはヒュージ・エイプwith取り巻きの色付きエイプ御一行様である。
スピードとパワーと数で押してくる合理的な連中だ。
デデンと奥に居座る一際大きいヒュージ・エイプが叫ぶと、まずはカラフルなお猿さん達が取り囲んで歓迎タイムだ。
まー、言うても飛び道具が無いので結局飛び込んで来るしかなく、カウンターが取りやすい。
これが森エリアに居るモンキー系だとンコとか投げて来るから手に負えない、いや純粋な強さはエイプのが強い上に色毎に弱点とか耐性とかあって範囲魔法で一掃出来ないんだけどな…リアルになるとンコは精神的にヤバいンゴ。
パイセンも相変わらずCQCがキレッキレでダウン取ったヤツに容赦なく45スペシャルでダブルタップで仕留めたり、飛び込み躊躇してるヤツにヘッドショット決めたりしてるわ。
おっさんも…ゴルフクラブでシバいてますなー、さっき見かけた時はバーベルとか投げつけてたしw
見る見るうちに減らされてくエイプ達に怒りの叫びを上げながらボス乱入、流石にデカイ。
さて、ユーゲンでは
で、今となってはサエキさん、空中浮遊できるワケで…サエキグレネードがポロポロとヒュージ・エイプの頭上から降り続くワケで…更に脇からパイセンの45スペシャルと、おっさんのサブマシンガンの十字砲火が雨あられと…
いい加減耐えきれなくなったのか必死に飛び退り逃げようとするヒュージ・エイプ、そしてその姿を照準の先に捉える俺ちゃんと火を吹くハンター357。
ヨロヨロと何とか体勢を立て直そうとふらつく背後におっさんがいい笑顔で赤いドラム缶をセットしてサムズアップ。
アレはあかんヤツやw
数秒後、ボス部屋は爆音に包まれた。
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