第103話 観戦と海賊
「ハイ♪デュクシデュクシ!からの〜♪投〜げて〜溺死!」
ワン・ツーからの投げで海にチンピラを放り込むパイセンへ遠巻きに声援を送る俺ちゃん。
海面には既に十数人投棄されているけど、まだ手に手にパイプやらバットみたいな棍棒とか持ったチンピラ数十人に囲まれてる。
こんなん昔の不良漫画かアクションゲームでしか見た事が無いシーンだw
「無刀取りで
見世物じゃないと二、三人凄んできたけど横綱が軽く引っ叩いて海に叩き落としてたw
何人かソレを目撃して目ん玉ひん剥いてたけどソレどころじゃないみたいだ。
「スポーツ観戦のノリですね(苦笑)けどこのポテトフライは後引きますね、どこで売ってました?」
モグモグしながらザッキーが聞いてくる。
「マップデータに反映させておきますね」
地味子が地味に優秀な対応をしてくれている。
「おっとバールの様なものを
中佐は襲い掛かってくるチンピラ相手に淡々とボディへカウンターを合わせて意識を刈り取り、その場に崩れ落ちた屍を丁寧に海に蹴り落としていく……正に作業だw
「強い!
俺ちゃんの声援にパイセンもノリノリだw
そして囲んでた連中の大半を海へ不法投棄した辺りでステージボスがご登場の様子。
大型の魚を解体するのに使う巨大な肉厚包丁を両手で振り上げた巨体エプロンスキンヘッドが突進してくる。
巨大包丁が振り下ろされる瞬間に
強力な弾丸の衝撃は大振りの攻撃を止めてしまう。
「これは……銃パリィ!?そして距離を詰めて浸透勁!!衝撃が内臓を貫く致命の一撃だ〜!!」
勢いのまま海へ崩れ落ちる巨漢……パイセンの奴、名作ゲーム「ブラッディ・ドーン」の決めアクションを再現しやがったw
あ、ドヤ顔でこっち見んなw
――――――――
「で、お前達はその大立ち回りを肴に観戦してた、と……あー、仲間なんだろ?」
対面に座った海賊が眉間に皺を寄せて問いかけてくる。
クセの強い黒髪に巻いたバンダナ、ドクロマークの
正に海賊なんだが冒険者ギルド自由都市南支部のギルトマスターなんだそうな。
自由都市は治安維持も手前味噌の冒険者により為されているのだ。
そう、俺ちゃん達は堤防での大立ち回りが一段落ついたところで押っ取り刀でやってきた冒険者達に囲まれてしょっぴかれたのだ。
あれだけの人数を全員海へ不法投棄してなおシャドウボクシングとかしてた化け物二人に対して流石に力ずくで取り押さえるのは躊躇したらしく、離れた場所から声を掛けて比較的穏便にギルド支部まで誘導されたのだ。
多勢に無勢の上に絡まれた被害者なんだから丁重に扱うべきだし…それより何より俺ちゃん達は更に罪なき
え?通報義務?それって美味しいの?
「いやー、楽しそうだったんで邪魔しちゃいけないかなー?と」
隣に座ってる地味子とアイコンタクトとって「ねー♪」をキメる。
「アイツらは地元では結構有名なシャーク団つって中々凶暴な連中なんだがな……」
中々にベタなネーミングセンスだ……確かに平和に堤防釣りしてる
あー見方によっちゃシャークが釣れたって事かw
「釣りしちゃいけないルールとかあるんですか?
素直に疑問を投げかける。
「それなぁ……あそこは普段から地元の人間も寄り付かないからなぁ。かと言ってシャーク団の連中の溜り場って訳でもないんだよな、アンタら旅行で来てるんだってな?連中と揉めたりしてないよな?」
「裏道で検問ごっこしてた坊主共と少し世間話したくらいっすかねー」
世間って奴を教えてあげる話、略して
「あぁ、それは違う連中だけど……チッ、連中まだそんな事やってんのか。兄さん達にはすまないが裏道はあんまり通らない方が……って要らん忠告か」
「自由都市って冒険者ギルドのお膝元なのに随分と治安がよろしくないんですね」
「あ〜、ハッキリとモノ言う奴だな……まぁそんだけ巻き込まれてちゃ言いたくもなるか。上の連中が商人ギルドに空気入れられててよ、金勘定に煩くて表通りだけ綺麗にしときゃいいって考えで裏通りの巡回は経費節減でカットなんだとよ」
ここで俺ちゃん達相手に愚痴るとは相当溜まってるみたいだ。
「普通なら客商売にも影響出るから都市内全域の治安が良い方が商人さんも喜ぶんですけどねぇ……ガラ悪い連中使って表通りじゃ出来ない商売でもしてるんですかねぇ?」
「裏か?賭場も娼館も老舗がやってるが客なんて殆どが
「そしたら冒険者が睨みを利かせてる自由都市に居着くチンピラって何の為に
「この街は交易の要だからな、人も流れてくるんだろうよ。警備って何を何から守るってんだよ……いや、待てよ……あの堤防は
なんか秘匿は破られたらしい。
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