第46話 海岸視察
「
そよぐ風、白い雲、波間から照り返す陽の光…足元は白い砂浜、遠くには海鳥が旋回している。
ここはドワーフ自治区から南、遺跡を更に南下した海岸である。
パイセンの強い要望と今後の展望を見据え、何よりロマンだろう!と海洋プラットフォームの建設の下準備として海岸沿いでの拠点候補視察と相成ったのである。
眩しい陽射しに目を眇め、今こそ
「諸君!刮目せよ!
もちろん号令と共にカッコいいポーズをとるのも忘れない、オーディエンスはいつもの変態二人と横綱だ。
地味子は衆人環視となりうる状況で肌をさらすのはアイデンティティに関わるとの事で水着回になりそうな今回はパスとの事だ。
「個人的にご覧になりたいのなら何時でもよろしいですわよ?」と耳元で囁かれたら許さない訳にはいかないだろう。
イカン、回想で崩れそうになるカッコいいポーズを持ち堪え集中する…昨今の主人公キャラは“集中!”からのコンボが真骨頂なのだ。
お披露目するのは謂わば多段テレポートだ、まずは一段目!
アウターである近未来的なパーカーとハーフパンツを人型のまま残し第一の
数m先にジャンプアウトして二段階目、謎素材の上下のインナーを人型に残し第二の
更に数m先にジャンプアウト、その姿は目論見通りの
そしてココからが難しい…己の
K点を越えたジャンプアウト先には、無限大を模した流麗なる飛び込みポーズで美しい着水体制に入る俺ちゃん、勿論イタズラな日差しでセンシティブな部分を隠すのも忘れない…角度がポイントなのだ。
限界ギリギリのリソースに迫ったテレポートで火照った脳と身体を冷やす海水が心地良い…プカリと浮かんだ視線の先には全てを目撃した罪な太陽がサンサンと輝いている。
海水浴には少し早い時期なのか海流のせいなのか海水が思いの外冷たい、速攻で浜辺に戻ると三人がフリップを掲げてる、端から[9.7][8.8][1.8]だ…え!?1.8はオカシイだろ!?
ビデオ確認による再判定を申し出たが審判団によると、“[
そもそもロッカールーム機能で脱衣も含めた瞬間着替えが出来る以上、実用的な評価は出来ないらしい…つまりは芸術点だけで稼いだにしては異例の高得点だったんだと自分に言い聞かせよう。
「ロッカールーム機能が高性能過ぎるんだよね…手荷物とかバックパックに入れた荷物とかも衣装データで亜空間に仕舞われるからストレージと変わらないもんなー」寒いのでサッサとロッカールーム機能で瞬間着替えする俺ちゃん。
「重量反映されない分は優秀だな、容積はお察しだけど便利なのは確かだなwww」冷静な分析だぜパイセン。
「個人的には不自然な日差しによる目隠しが気になるんですけど…アレって無理矢理空間歪めたりとかしてます?」学術的興味を隠せないザッキー。
「其の辺は企業秘密だな、ポイントは角度とだけ言っておこう」とりあえず
本当はもっと修行して汗とか皮脂とかを置き去りして異世界あるあるの生活魔法“クリーン”に対抗しようとしてたんだけど、無駄に難易度が高過ぎるのと絵的に美しくないのでボツにしたのは我ながらクレバーな判断だったと言えるだろう。
ちなみに難易度を下げる為にブリーフ派からトランクス派に鞍替えしたのはキミと俺ちゃんだけの秘密だぜ?
「ここから西は岩石海岸が続いてます…都合良くダンジョンがあればいいんですけど、ソレっぽい反応もないんで資材供給に若干難ありですね。逆に東は砂浜が続いて磯が点在してるんですが、村落も点在してるんで拠点候補としては秘匿性に難ありですね…地脈調査も滞ってますのでダンジョンの有無は不明です。西はメタル・インセクトに任せて、我々は東の村落で聞き込みでもしましょうか」ごく自然に横綱に跨がるザッキー。
乗りこなしてるなー、横綱。
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