第47話 海鮮天国
「エジプト屋の話は前にしたっけ?」
「太いエビが美味い定食屋だろ?エッジの効いたネーミングセンスのwww」
「ログで確認しましたけど…本当にそのテの店とか詳しすぎません?(苦笑)」
視察中の俺ちゃん達は海の見える漁師小屋で村人達から歓待を受けていた。
小さな集落ながらも海岸に程近い高台まで水量豊かな川が流れており滝となり海に注いでいる、即ち真水と海水が両方が存在しており小規模ながらも農業と漁業が両立している土地柄なのである。
「人生経験豊かだと言って欲しいねぇ、んでエジプト屋の裏メニューがあってさ、海鮮物のいいのが仕入れられた時限定で海鮮丼やってたのよ」
「確か仕入れの強みが自慢の店だったよな?相当よさげな海鮮丼っぽいなwww」
「ここの海鮮物も中々のモノですよねぇ」
海の幸も山の幸も味わえる幸せな土地なのだが如何せん人口問題で痒い所まで手が届きにくいんだとか。
コミュ力お化けのザッキーは
気が付けば採れたての海産物と炊きたての米で作った海鮮丼をはじめとした饗宴と相成った。
「そう、いい海鮮物を見ると思い出すのよ、エジプト屋謹製“ポセイ丼”を」
「相変わらずのネーミングセンスwww」
「店主はどこを目指してるのか非常に興味深いですね(苦笑)」
コンパクトに纏まった集落は手入れが行き届き、どこか箱庭的な雰囲気を醸し出してるのは一人の流れ者の貢献が大きいそうなのだ。
今は沖合いに漁に出ているらしいが元々の住民に言わせれば漁と言うより釣りだそうな。
マズメ時に漁に出る事もあるが沖だろうが磯だろうが川だろうが日がな一日釣り糸を垂らしている変わり者だと言う。
「しっかし変わり者だけんども
炙った日干しの魚を肴に一杯
本人不在で陰から人を褒めるのは実は美味しい飲み方の一つだ、異論は認める。
噂をすれば影が差すとはよく言ったもので昼日中の酒盛りに、常より随分早く漁から引き上げてきた三瓶どんがひょっこり顔を出した。
「どしただ?こっちはハァ坊主もいいとこだけんど皆は大漁でお祭りかい?」でっかい麦わら帽子がトレードマークの様だ。
「お祭りは縁起が良くねぇだでよ、宴会で良かろうモンよ」成る程、釣りでお祭りは無い、とw
「上手いこと言うねぇ、外道だけどカワハギでも出そうかい?それで御相伴にあずかってエエンカイ?」
どうもこの辺りの人達は地口が達者な様で気安いやり取りはホンの挨拶代わりとばかりに手が止まらずに俺ちゃん達のテーブルに三瓶さんの席が自然に設けられる。
「見たところコンバート勢だねぇ…流れてきたって雰囲気でも無さそうだから物見遊山かい?」柔和な笑顔で話し掛けてくる様は人柄の良さがにじみ出てる、簡単に自己紹介を済ませて一頻り異世界転生あるあるで盛り上がる。
三瓶どん御本人はミナミノマチで馴染めずに流れてきたそーな。
三瓶どん自身もそうなのだが一大ブームを巻き起こした伝説のサンドボックスサバイバルゲーム「マジで暮らすど」通称“マジクラ”勢が固まっていたそうだ。
曰く「効率的なのは分かるんだどもブランチマイニングやら整地やら巨大建造物は性に合わんくてよ?地形に合わせたチンマイ小屋さ建てて釣りでもしてる方が落ち着くんさね」との事。
どうやらミナミノマチはマジクラ勢を取り込んで大規模工事に着手している様だ、インベントリの重量問題がネックになっている様だがチェストボックスやら簡易転送魔法陣やらを有効活用する事で従来の魔法兼用土木技術よりも効率的なのだとか。
ただ意思統一と言うか同じマジクラ勢の中でも派閥があるらしく、そうそう上手く捗ってるとは言えないらしい。
派閥争いやら引き抜きやらに辟易とした三瓶どんは人知れず街を離れ、やがて海沿いの村に辿り着いたのだとか。
治水やら開墾やらはお手の物なので小規模ながら暮らしやすい環境を整えた三瓶どんは当然ながら村に受け入れられて悠々自適な現在に至るそうだ。
村の建物の屋根に設置されてる太陽光発電設備は三瓶どんによるもので魔法陣発電と併用して散水装置等の動力にしてるのだとか、ザッキーと話し合って充電設備を複数設置して農業補助パペットのステーションの建設計画を立てたりと意気投合してた。
建設候補地の下見に行ってくるとライデンに二人乗りで飛び出して行ったのは唖然としたものだ。
「「ライデン、
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