第83話 帝都の夜に翔ける影
結局、孫の手の組織図的な内容は分からなかった。
捕らえた左右トゲトゲブラザーズはノーズ=シットとアイ=シットとゆー本当にシット
ボスっぽい奴のエージェントを名乗る男から勧誘されて必要に応じて資金提供なり情報供与とか指示とか受けてたらしい。
エージェントに「貴方達の様に腕のたつ人材こそ我が組織に欠けていた重要なピースなのです!…え?幹部対応?もちろんですよ!だけど帝都の闇を統べる組織故に秘密主義なのです。貴方達も我が組織の秘密兵器なのですよ?おいそれと表に出せないが故に必要最低限の情報共有になるのは御理解下さい。だって秘密兵器の幹部さんですよ?私も全容の把握なんて出来ない使いっ走りですからナンですけど、お二人のオーラ?気風?恐らく上から数えて片手に入るんじゃあないかと睨んでますねぇ…え?それなら四天王と呼んでも差し支えない?そうでしょそうでしょう!よっ!流石帝都の闇を滑る四天王!イヤァアコガレルナー」とかお墨付きを戴いて四天王を名乗ってたそーだ。
エージェント何してんのう!?
そりゃあんだけタフなら便利に使い倒したくなる気持ちは分かる、けどこんなのに四天王とか吹かれても…あぁ、実態は影の組織だからイメージとかどーでもいーのかー…むしろこんなに危ないのを飼い馴らしてるってのは一つのセールスポイントだったのかー。
しかも
そんなトコロで無駄なアイデンティティ発揮してんじゃねーよ!と素直に叫びたい。
無駄にタフだから
それでも嫉妬兄弟は帝都の闇社会ではそれなりにビッグネームだったらしくパイセンや俺ちゃんはソノ手の連中にマークされる事となってしまったのである…そりゃあね?派手にやれば孫の手に連なる連中とか引きずり出せると思うジャン?
敢えて
釣れるのは
そう、今この時も襲いかからんとする不逞の輩をマップで把握している。
時は夜、月明かりのみが照らす裏通りで高所を取るのは戦術の基本、飛び道具に良し飛び掛かるに良し監視に良しと理に適っている、そもそも頭上は人間の死角だ。
だが悲しい
それとは違う反応が二つ、マップ上で急接近してくる…速い!通常の三倍か!?
間合いに捕らえたのか更なる加速を見せる、流石に迎撃体勢を取るべきかと頭上を見上げると今正に襲い掛からんとしていた
「天呼ぶ地呼ぶ
「悪を滅せと我ら呼ぶ!」
誘い込んでいた路地裏に強襲した二つの影が名乗りを上げる。
「我らが望む正義は音速!」
「言葉は後からついて来る!」
月明かりがお揃いのコスチューム姿を照らす、全身タイツをベースにベルトや腕輪やブーツがショーワな正義を
「「故に我らは問答無用!」」
額に“S”胸には“M”を
「ソニックマスク1号!」
「ソニックマスク2号!」
「「見参!!」」
嗚呼、その背後には爆発のエフェクトが見える…そして余計な事は語らずにノックアウトを見届けると御役御免とばかりに速やかに帝都の夜を翔け消えてゆく…
“
“
彼らの求める先は遥か遠く果てしない…彼方を見据える姿は夕日を追いかける月の如し、去りゆく彼らを見送る月明かりが新たなる来訪者達を照らす。
「あ、どうも、僕です。アイザック君です」
横綱に搭乗したニクイアンチクショーが帝都の夜に登場だ、月明かりに照らされながらドヒョーッと土俵入りだ。
――――――――
「遺跡ダンジョンにバージョンアップしたパペットを投入し続けたんですよ、ゴーレムダンジョンに賢者がハイスペックな
素材を生かした帝都っぽい料理、貝の壺焼きをアテに麦焼酎の水割りを味わいながら解説するザッキー、相変わらずマニアックなモン飲んでやがんな…お裾分けプリーズw
「蠱毒って程でもないんですけどね?そんなん繰り返してたら突然変異種みたいなパペットがレアボスで出てきてですね、それがまぁいい素体のベースになるレアドロップを落とす訳なんですよ」
サザエみたいな貝を網焼きしたのをグルリン♪と串で取り出しながらザッキーは語る。
「それでもレアはレアなんで数こなしても二体分しか確保できてないんですけどね、インセクトの必要機体数が等比級数的に求められるのに対して、精々一次方程式な供給しか出来ない現状で打てる手は無いのかと苦肉の策だったんですよ」
ああぁぁ…その肝んトコが苦くて美味いんよねぇ…もちろん俺ちゃん達の分もあるよね?
「地味子さんや中佐ほどでは無いんですけどスペシャルなボディの
横綱が後ろでパタパタしてた七輪を俺ちゃんとパイセンの前に一つずつ配膳してくれる、もちろんサザエっぽい巻き貝がホカホカと湯気をたてている。
横綱の配膳……横綱とは?(哲学)
「パイセン、海洋プラント計画が実現目前です」
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