第44話 事態収束
嵐のような会議が終わり、エーレヒト侯爵は会議中に指示を飛ばしていた暗部の調査報告を待つ為、また今回の顛末を纏める為に執務室に急いだ。
幸いな事に事態は収束の方向で急速に進んでいる、一体誰の手によるものか大きな不安が残るものの最悪の事態を想定すれば安堵の一つもしたくなるものだ。
郊外の砦…わずか数人に落とされたと言う補修中の砦に一連の逮捕者が纏めて監禁されてるのを暗部が確認してくるのも然程時間が掛かることもないだろう。
一息ついたところで見慣れた執務机に見慣れぬ書類が乗っている。
妙に揃った綺麗な
何故ここに…冷たい汗が背中に流れるが読まない訳にはいくまい。
内容は、帝国内に売られた違法奴隷の帰還スケジュールと伯爵以上の犯罪関与者のリストだ。
道理で会議中の資料には不自然な程に木っ端貴族の名前しか上がらなかった筈だ、これで情報が補完される。
連中には後ろ盾なく違法売買する度量も器量もないのだからな。
読み進めると今回の件に関係しないものまで精査されている。
敵対派閥や身内問わず、領内の違法行為がここまで
ならばこれらの密告をどう扱うのが問われてるのは侯爵自身なのであろう。
しばし瞑目し考えを纏めると執事長と嫡子を呼びつける。
これからは様々な後始末に追われる事になるのだろう。
「
侯爵の独白は夕闇に溶けていく。
――――――――
「はい、そーゆーワケでエライヒト?エレーヒト?なんかそんな感じの領主さんの面を拝んで参りました」
「適当なテイストだなーwww」
「会議の様子はライブで拝見させて頂きましたけど、サエキさんは、なんであんな茶番でイキイキとしてるんですか?(苦笑)」
「んー、普通に面白かったよ?
「場合によっちゃ見晴らしの良い会議室から問題起こした連中の主要施設の爆破シーンを御覧いただくトコだったからなーwww」
「やらかした連中を下手にかばおうとせずに粛々と粛清してく流れで良かったですね」
「ホントは見晴らしの良い会議室で街を見下ろしながら指パッチンで合図して爆破ってのをやってみたかった希ガスw」
「バエてバズるってか?むしろ文字通り炎上?www」
「派手な舞台装置をゲリラ的にパなしても住民に迷惑なだけでしょう?(苦笑)何にしろ統治者としての侯爵は及第点を超えてきましたね。最新版の資料もお届けしましたが握り潰す様子もない様ですし」
「情報収集力も戦闘力も上限が未知の組織からの情報提供だぜ?握り潰せるのは勇者か愚者かどっちかなんじゃね?w」
「それなwww」
「今後は主に
「情報と言えば帝国からのスパイは?」
「放置に一票wwwちなみに流す情報の質は?」
「そうですね、スパイなんか居て当然ですから目に余る動きとか無い限り放置でいいでしょう、下手に我々が手を加えれば悪目立ちします。それに統治や統制は領主の仕事です、閾値を超えない限り介入しません。流す情報の質は
「まー、俺らは別に正義の味方じゃないからなー。そーいえば修復工事中の砦に放り込んだ連中は?面白いのとか居た?俺の担当した奴らはツマンナイ連中だったけどなー」
「自意識過剰君かダブルスタンダード野郎しか居なかったぞ?漏れ無く潰してTS転生者にクラスチェンジしてもらったよ?www」
「そもそも報道を手段として利用しようって発想が原始的過ぎるんですよ、本来“言論の自由”と言う言葉があっても“報道の自由”なんて後付けの造語なんですよ。
パイセンはタマヒュンどころかタマグシャかー、俺ちゃんも程よく内臓に深刻なダメージ残したからなー…まーなんにしろ南無。
ザッキーも静かに怒ってるなー、確かにマスコミってのは本来崇高な仕事だった筈なんだよなー。
人にジャッジを任せると最終的に腐るのは悲しい哉どんな仕組みにでも言える事なんだよね。
サポートA.I.には感謝しないとな、地味子とか眺めてるだけで癒やされるもんなー、アレは絶対マイナスイオン的なナニカが出てるに違いない。
メガネっ娘は至高ですよ。
────May the glasses be with you────
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