第63話 ノーザンパイア都市浄化計画?


 パイセンが来てくれたお陰で街の中の掃除が大分捗った。

 ボッタクー商会北部統括支部を中佐が掌握してくれた関係で、密やかにボッタクー後援のクラン員として何時の間にか登録されている俺ちゃん&地味子ペア。

 そう、冒険者カードはギルマスにポイしたんだけど正規の退会手続きが完了してないらしくて未だにタローハナココンビは冒険者として登録されたままなのである。

 尻の穴の小さいギルマスの事だ、取り敢えず握りつぶしといて都合の良いタイミングで手続きをするつもりなのだろうが別にどっちでも構わないのだ。

 

 そうと知らずに礼儀を知らぬハネっ返りのフリーの新人に教育してやる、と言わんばかりにノーザンパイアのクランの連中が釣れまくりんぐw

 確かに俺ちゃん達がやらかした勧誘員返り討ち事件は帝国のクランからして見れば問題児達ダーティーペア認定案件なのだが例え問題児だとしても他クランに所属した後に手を出すのは、逆に帝国内クランとしての不文律に反する行為なのらしい。

 仮にギルド退会手続きがされたとしても、それはそれで冒険者による一般人への暴行となり出るトコ出れば、やらかしたクランも所轄のギルドも処分対象になるのだ。

 まー、実際は軒並み返り討ちからのOHANASHI のワンセットでパッと見どちらが被害者か分からない状況ではあるんですが。

 

 まずはタロハナで釣って反撃で一段、追撃のパイセンがウチの若いモンに手ぇ出すとはナンボのもんじゃいクラン特攻で二段、クラン後援の商会にウチの系列にチョッカイ出してくれて有難う御座いますお話しましょうね訪問を中佐が敢行して三段。

 かの信長の三段撃ちにも引けを取らない完璧な布陣である。

 勿論タイミングが合えば反撃から訪問まで途切れない流れる様なビッグウェーブにもなる、もう乗るしかないよね♪

 

 ノーザンパイアに存在する商会の大部分がボッタクー商会の傘下に組み込まれたりボッタクー有利な取引条件を飲まされたりと言う状況になると、今度は商業ギルドが黙っていなかった。

 だがしかし超文明AIにして百戦錬磨の智将トム中佐に抜かりはなく、あらゆる突っ込みが入ってもぐうの音も出ない証拠提示や法の基準内に収めた取引証書など正攻法では崩せない鉄壁の理論武装で跳ね返した。

 正攻法で無理ならば搦め手で、と闇討ちしてくる連中もいたが最悪よりの悪手であった。

 ものの見事に返り討ちにあい交渉カードが一枚増えるだけなのであった。

 

 強ぇんですよ中佐、ボディであるライトニング=サンダーボルト中佐の一番強い戦法は“待ち”だと言われていた。

 鉄壁のディフェンスからの手痛いカウンターで帯電コンボを喰らわせると、相手側の帯電ゲージ(フルに貯まるとスタンする)が消化されるまで有利な状況で攻め込むと言うのが中佐の強い立ち回りと言われていた。

 勿論、相手の攻撃をキチンと捌ける上級者で無ければ機能しない戦法ではあるが、中の人がトム中佐だもんなぁ…

 ま、序盤・中盤・終盤隙が無い鉄壁の防御キャラだと覚えておいて欲しい。


 そうなると商業ギルドに溜まったストレスはどこに行くのだろうか。

 お察しの通り冒険者ギルドに抗議とクレームの嵐が吹き荒れたのである。

 しかもよりによって「ハネっ返りのフリーの新人がいる」との情報を大々的に漏らしたのがギルドマスターだって言うのだから始末が悪い。

 どうにかこうにか関係者各位に謝り倒して火消しに走り回って疲労困憊のギルドマスター、日常業務は当然疎かになり盲判めくらばんでサインした決済書類の中には誰が作成したのか本部行きとなる今回の事の顛末書が紛れ込んでいた。


 本部に届いた後のリアクションが非常に楽しみなのだが何にしろノーザンパイアは風通しの良い街になりつつあった。

 別にノーザンパイア都市浄化計画!とか全然考えて無かったのに結果的に随分と都市内の健全化に貢献してしまったのである。




 

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