第3話 邂逅
新規勢が初めて訪れる街、アンセムは始まりの大樹の北に位置する外壁に囲まれた城下町で東西と南北を結ぶメインストリート中央の十字路の真ん中に名物の大噴水が素敵にファンタスティックなランドマークを誇る正当ファンタジーな街並みが見所なのであーる。
零時丁度のセレモニーはプログラム通りだと新職業のお披露目とネット配信セレモニー中継だった筈である。
街の北側にそびえるお城にメインの仮設スクリーンが、そして城から中央大噴水を繋ぐ大通り沿いに小型の仮設スクリーンが複数展開されている筈なのだが南門をくぐると内側のベンチにポツンと座ってるナイスガイが約一名。
「ウホッ!いいパイセン!」
思わず声をあげてしまったが、往年の名作、珠玉のステルスゲーム「マッド・ギア・ストーリー」シリーズに登場する謎のお助けキャラ「パイソン」とかセンス良すぎでしょう!
ちな、ムービーシーンで雇った外国人が英語圏じゃない人らしく緊迫したシーンで、どう聞いても「パイセーン!」としか聞こえない発音で呼ばれた為、ネット上どころか一般的にファンの間で「パイセン」呼ばわりされている。
あれ?だけどマッドギアシリーズは伝統的にオリジナルのオセロット・エンジン搭載でフェニックス・エンジンでわなかったやうな…
「そんなオマエはごった煮か?どんなチートだよwww」
なんとゆー事でしょう?パイセンが草多めで煽って来ますw
あ、ちな「ごった煮」は「ときめきバトルロワイヤル "gotta2"」のネットスラングですw
つか、こんなマニアックなゲームの
「キメラ・ソフトって知ってるか、ニュービー?それとも草多めのグリーンボーイか?」
「うはwww操作ミスしたオールドボーイに煽られたwww」
やべぇ、上級者である。そう、マッドギアシリーズ本編では出て来なかった微妙にデザイン違いのスニーキングスーツが採用されたゲームは、正に上級者と呼ばれるマニア向けの外伝で、このタイトルだけ試験的にフェニックス・エンジンver7.62で作られた知る人ぞ知る…
「つかパイソンズ・ストーリーとかマニアック過ぎね?w」
「うはwwwマニアにマニアック言われたしwww」
どこまでも草を生やすグリーングラスボーイに閉口してるとベンチ脇からヴォン!と近未来的な電子音と共に体育座り…今だと三角座り?している銀色のスペースオペラなスーツを着込んだ輩が現れる。
名作ゲーム「サブ・スペース」、オープニングムービー冒頭のナレーション「それは遥か遠い遠い、科学が魔法に追いついた時代の話…」から始まるSFファンのハートをズキュンと撃ち抜いた近年稀に見る衝撃作の主人公…
「「アイザック・ビショップ大佐に敬礼!!」」
グリーンボーイとオールドボーイが瞬間立ち上がりズビシッと綺麗に揃った敬礼をすると、ゆっくりと立ち上がり重々しく且つ流麗な答礼を返す大佐。
その脇でメインストリートをパラパラと南門へと駆け抜けていくプレイヤー達が不審げに、そして視線を合わせぬ様に外部マップへと消えて行く。
視界の端に浮かぶ時刻は零時半、解像度開放の予定時刻だったなーと。
敬礼した指先からヌルリと、まるで違う世界に描き変わるかの様に生まれ変わる。
とぷん、と足下まで描き変わったと思ったら、変化は加速し街路樹が同じ色のまま違うグラデーションに描き変わる。
「「「これが世界の改編か…」」」
三口同音で呟かれた言葉に確信する、こいつ等は俺のフレだわwと。
アンセム城の仮設メインスクリーンから、そして大噴水北の通りから、いち早くフィールドマップに出られるのは東西の門であり、南門はラグを嫌った勢が選択した感じでパラパラと駆け抜けた後の第二波は訪れなかった。
敬礼したままの三人が硬直しつつも「お前、なんか言えよ」とゆーアイコンタクトが空回りする中で微妙な緊張感が飽和してゆく。
結局、南門前で車座になってアレコレ話し込む事になったわけだが。
「アンセムでセーブしてた既存キャラ勢って少ないよな?コンバート勢ってほぼアンセムスタートで合ってる?」
「ワールドマップ中央になるアンセムから見て東西南北に攻略拠点になる街がありますし、少し前のパッチで経験値もドロップも美味しさが均されたのは今夜の為ってのが通説ですねぇ」
「トップギルドも先週のGvG(ギルド対戦)で東西南北に綺麗に分かれたもんなw」
「つか、さっき見かけた「乱射・オブ・ザ・デッド」もフェニックスだったんかーwww」
「落ちゲー「ブヨブヨ」もいたけど…あれさー、同じ会社のアクションRPGの隠しオマケゲームのデータだぜ?w」
「思ったより古いゲームが多い感じですね、ver.5が出た頃は3Dゲームの万能エンジンとか言われてた時代ですものねぇ。クイズゲームのキャラとかいましたよ?」
「公式ホームページでコンバート勢の分布図出してるけど…俺達円グラフに反映されてないwww」
「マジで?ごった煮やパイソンズはともかくサブ・スペースとかver.9くらいだろ?去年辺りにプレイ動画沢山あっただろ?」
「サブ・スペースはジャンルがSF開拓ストラテジーアクションゲームですからねぇ、プレイ層が違いますよ?そもそも戦闘前のブリーフィングでバトルアクションをオフにしたらアクション要素無くなるのに何故にフェニックス搭載したのも謎ですねぇ」
自己紹介もしない本人達にはバレバレの仮面座談会は尽きることの無い話題で盛り上がって行くのであった。
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