第65話 ギルマス捕縛プレイ(後請求)
ダウンを許さぬコンボで壁に貼り付いてた爺さんが、まるでスローモーションの様に崩れ落ちる。
勝利ポーズは残心…それは倒した相手に向かい構えを解かない事ではない、全周囲への警戒であり連戦をも辞さない構えだ。
ギルドマスター室がある建家から駆け下りてくる気配がする、恐らくギルマス室から見下ろしていた
案の定、扉を蹴破る勢いで訓練場に駆け込んてきたギルマスは息を切らしながら何事かを怒鳴ろうとしているが、そのタイミングで逆に指向性のある声を走らせる。
「ギルドマスター!敷地内に暴漢が入り込むとは防犯体制はどうなっているのだ!」
肚から声を出し奥の壁にぶつける様な勢いの発声は駆けつけるギルマスの歩を強引に急停止させる。
流石に横綱の様にはいかないが胆力を声に乗せるお手本は非常に勉強になった、もし俺ちゃんに相撲力が有って鍛錬を積んだのなら物理的な力にまで昇華出来たのかも知れない。
「受付より奥にあるこの訓練場に潜み突然襲いかかってきたぞ?マジどーなってるん?」
胆力を乗せる発声法はスタミナ消費が著しい、構えを解いて通常モードに移行する。
呆気なく短時間で終わった戦闘は、その実そこそこ危うい薄氷の上の勝利だったので少々お疲れちゃんなのだ。
速い上に重い連撃…AGIだけでは無くSTRも申し分無く、注ぎ込めるリソースを注ぎ込んで完成されたステータスから放たれた連撃だったのだろう。
たらればにはなるが、初撃の奇襲が浸透勁の様なガード不可攻撃だったならダメージを貰っていただろう。
ガー不の内腑を抉る様なダメージってチョ→痛いんよね、パイセンが浸透勁体得してからトレモで貰った時は痺れたねぇ…ま、ガー不なんてのは溜めが必要だから奇襲が成功していたかどうかは又別の議論になってくるんだけどね。
一番の分水嶺は奇襲の後に待ちに入った事だろう、
攻防を確率で均して閾値を超えたダメージを喰らった時にヒールなりポーションなりでケアするスタイルで次々と処理していくのである。
つまり有無を言わせず攻撃し続けるのが真骨頂なのである。
格ゲーに於いても強い連携を擦り続けると言うのは場合によっては正解なのである。
勿論ワンパターンな連撃は容易くカウンターを取られるが、何かのミスで連撃を許してしまい各種ゲージで不利を背負ってしまった時に擦り続けられる強い連携は悪夢と言えるだろう。
落ち着いて嵐の様な連携を捌き続けられるかどうかが格ゲープレイヤーとしての胆力が試されるのである。
一方でVIT系のビルドは対ボスもしくは
回復をパーティメンバーやポーション連打に任せて避けにくい痛撃を甘んじてVITで耐える短期戦や一点突破スタイルだ。
相手の出方に合わせて適宜対応するファイトスタイルは格ゲーで言う“待ち”に近いものがあるかも知れない。
つまり奇襲後の仕切り直し時に、自分の利を自ら捨てた舐めプを選択した初手こそが伯仲した勝負における敗着の一手だったのである。
真剣勝負であればある程、勝利の天秤が傾いた後は呆気なく勝負は決まる。
そこには油断や慢心など無い容赦の無い詰め将棋のフェーズに入るのである…淡々と、粛々と刻まれる連撃を、人はリーサルと呼ぶ。
「なっ、何を言っておるのだ!?この人は帝国で屈指のS級冒険者“尽きぬ拳撃”の二つ名持つグラ=サンさんだぞ!体力の有り余ってる貴様らの為に教育係として招聘したのをどうしてくれるんだ!?」
人が「
地味子なんかはモノローグに合わせた次の回想シーンの準備してたのにΣ(゚∀゚ノ)ノ!?って感じで驚いてるぞ?
「つまりギルマスは傷害教唆の張本人だと自白してるとの認識でいいのだな?」
いつでも捕縛しまっせ!と構える地味子タンいとカワユス。
「何を!な、何を言っておるんだ!?街内で暴れまくっとる貴様らに対してクレームを入れていた商業ギルドに対してキチンとした人物に手綱を握らせておると言う形で言いくるめ…違う!貴様らを商業ギルドから守る為にも一廉の師匠をつけると言うギルドの親心を!クサマは!クサマルァうゎぁぁあ!」
語るに落ちるとは正にこの事だろう、地味子が軽く放った三日月蹴りで地面を舐めるギルマス…あぁ!地味子の縛りは有料だぞ?後で請求するからな!
しかし今回は反省点多き顛末だった、そもそも冒険者ギルド内で奇襲を受けるとは気を抜きすぎだったのだ。
今後は周辺を探るテレキネシスに更なる磨きをかける事としよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます