第78話 探求者の叫び
会頭邸に戻ると大体の事は済んでいた。
薬を盛った中堅メイドはどうやら色々と洗脳されて吹き込まれていた感じで悪びれてない、むしろ哀しい被害者の様だ。
邸内の不審者5名の内訳はシロ2グレー1クロ2、シロなのは連れ合いを亡くした料理長との隠れた交際がバレたのではないかとキョドった三十路のベテラン独身メイドさんと調味料を使い込んで新しいスイーツ開発を無断で敢行していた中堅シェフ。
「別に誰に恥じる間柄でもあるまい、機を見て夫婦になるも良し、私だって馬に蹴られたくはない。そしてメニュー開発は立派な仕事だ、確かに砂糖や香辛料は安くは無いがコソコソやらんと堂々と言ってこんか!そんな事を認めんほど狭量ではないわ!」
夫々が会頭のお叱りを受けていた、ちなみにグレーの奴はメイドさん達の下着収集が趣味だったらしく、別の意味で真っ黒だった。
「別に使用後すぐの新鮮なモノじゃなくても良かったんだ!むしろ洗いたて、しかも洗いざらしのヨレヨレの捨てる寸前くらいのが歴史を感じられて味わい深くて堪らないんだ!いいだろ?どうせ履き潰して捨てるくらいの布切れなんだろ?俺みたいな探求者におすそ分けしてくれてもバチは当たんねぇんじゃねぇのか!?」
何やら覗いちゃいけない世界の深みから叫び声が聞こえた様な気がするが、コイツは色んな意味で触れない方がいいだろう。
そして最後にクロの二人、外部との連絡係の守衛とメイドさんを
特に馬丁見習いは薬なり何なり手段を選ばずにメイドを堕としたらしく
俺ちゃん達が確保した二人と合わせて四人が同じ穴のムジナだった様だ。
じゃあどこから送られてきたのか?の問いには揃って口を閉ざしてくれる、TS転生者なんかは脂汗を流しながらも必死に口を噤んでいる。
どうやら下手に喋ると命の生命が危険でピンチになる様な組織の様だ。
ま、喋んなくても俺ちゃん達がシバいた二人組を見張ってた不審者に虫がついてるんですけどね。
案の定、治安の宜しく無い地区の評判の大変宜しく無い建物に入ってったみたいですね。
帝都内に散開してた虫たちが一部重点監視場所を除いて集結しております。
どうやら帝国内でも有数の非合法組織で
組織名“影の手”、主に暗殺を得意にしているらしく付随した情報収集やらで情報屋もどきなんかも経営してるのだとか。
顧客名簿の上の方にルー氏の名前があるらしくテイター邸の監視は以前請け負った仕事、会頭に検出が難しく病気に見せかける毒を盛ると言う依頼のアフターサービスだったらしい。
それなら大人しくしときゃいいのにメイドに手を出したりと随分と舐めた連中ですね、もう少し掘り下げた面談が必要だと思います!
何にしろ孫の手だか影の手だか知らんがキッチリとOHANASHIする必要が必須なのだ、下手にルー氏に話が行っても面倒くさいので乗り込もうとしたら待ったが掛かった。
「あー、腹減ってね?どうせ虫で封鎖してんだ、朝飯前の仕事なんだから晩飯後でも問題ないだろ?www」
パイセンから声が掛かるが誠に説得力のある話だ。
確かに目の前までやって来たお肉さんとは今生の別れで引き裂かれたトラジディーなOAZUKEを喰らっている。
食べて無いのに喰らっているとか改めて状況整理すると面喰らうわ…麺類も近いうち食べたいなw
「それにアレだ、正直お茶請けの菓子は微妙だったけどよ?会頭からの指示でコソコソせずに作ったスイーツとか興味無くね?www」
洗脳されたメイドさんの生体データをザッキーに送り強制的に眠らせ隔離、孫の手四人衆も強制的に眠らせ個別に監禁。
金持ちの豪邸ってこーゆー時の為に沢山部屋があるんですね、と感心しながら手洗いうがいをして食堂にゴー。
さり気なく手洗いうがいを奨める俺ちゃん達のストーリーは児童推薦図書になるかも知れない。
丁寧に火入れをされたステーキはシンプルながらも素材の味を引き出すものでスイーツも素朴ながら中々の出来でしたよ。
これは是非とも王国との料理文化交流で切磋琢磨して欲しいですなー。
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