第38話 東西緊張
「東のニシノマチがキナ臭い、と?」
「そのネーミングはワカリヅライから何とかならないか?www…えーと、確か支配層の貴族からトップギルドやら在野のギルドまで巻き込んで治安の見直しとかするとか言ってたよな?」
「えぇ、何やら独自の政策で安定するかも?みたいなお二人の報告を受けてたニシノマチは我が軍の情報収集網下に完全に入りました。それで今後の弊害になりそうな案件として上がってきたのですが、どうやら人権保護団体が暴走してる様なのですよ」
変態三人が顔を突き合わせ首脳会議である。
「あー、何だっけか?コンバート勢にも人権を?だっけ?w」
「どっかのスポーツ新聞みたいなの発行してるギルドを広告塔にするとか冗談みたいな政策を真顔で話してたな…中々に高度な冗句だと思ったけどなwww」
「大体の市民は元々娯楽として楽しんでたので、当初は然程影響も無かったんですよ。現にそのギルドメンバーで新聞発行に注力してた方々も「公権力の後ろ盾があるフェイクニュースとかオイシ過ぎるだろ♪」とか違う方向に息巻いてたそうですからね(苦笑)」
「…
「そのうちマスケの独占インタビューとか記事にしてそーだよなwww」
「もうとっくに出てますよ?バックナンバー読みます?」
「「あるんかいw」ww」
「えぇ、なんかカルトな人気があるらしくて…そうそう、
「アレが受け入れられてるならコンバート勢が肩身が狭いなんて事は無いだろ?つかヒデー名前だなw」
「ブルースもあの性格だ、忙しさの半分は困ってる市民のクエストとか積極的にこなしてるからだし地元の飲み屋とか軒並み仲いいしなwww」
「そうだったんですけどね、西々新聞が乗っ取られて話が変わりました」
「「どゆこと?」」
話を纏めると、風評被害を無くす会みたいな名前の連中が「侯爵肝いりの差別を無くす運動に我々の様な市民団体と連携を取らないのは些か片手落ちと言えるでしょう?別に我々の運動に協力せよと言ってる訳ではないのです、そちらの広報紙?新聞とやらの作製に何人かお手伝いさせて頂きたいだけなんですよ。偏見の無い広い知見で書かれたモノは広く受け入れられる事でしょう」とか言ってねじ込んで来たらしい。
後はアレヨアレヨとアーデモナイコーデモナイと気づけば軒先貸して母屋取られる状態になったんだとか。
元々冗談やノリが好きで集まった連中で構成されてたギルドだ、早々にギルマスはじめ元メンバー達は脱退して名前だけ“侯爵公認”広報ギルドとして一人歩きしているのだと。
「んー、確かに面白く無い話ではあるけど…何か問題とかあるん?」
「程良い混乱は都合の良い情報撹乱、望むところなんじゃね?www」
「別に正義の味方を気取りたいワケじゃないですよ?ただですね…まぁ、取り敢えずこちらをご覧下さい」
出された紙束は名高き「西々新聞」のバックナンバーだ、日付けは割りかし新しいな。
「えーと…なんだこりゃ?「男女平等の夜明け!侯爵夫人の熱い号令…?」って語尾の「?」とか折りたたまれてパッと見ワカランとか編集方法は見事に踏襲してるなw」
「こっちも似たようなモンか?「奴隷制度はオワコン!経済衰退への危惧を上級貴族が語る!…か?」揺るぎねーなwwwんで、コラムが「【亜人】は蔑称!今こそ差別意識を払拭せよ!」…【亜人】とか単語使ってる奴とかいたか?」
「一面の記事はショッキングな見出しで畳み込んだ末尾でお茶を濁してますが、他の記事はユーモアの欠片もないですね…お題目は立派なモノが多いですけど、男女差別反対、人種差別反対、右翼反対、左翼反対、奴隷制度反対、孤児救済、難民救済、貧民救済、心の性別保護、草食主義保護、環境保護、etc…流石に政治制度や身分制度へのアプローチはソフトですけど、全てを一つの団体が発信してるのは無理がありますよねぇ(苦笑)」
「確かに各タイトル自体は…いや、そこまで掘り下げてるんなら悪意も感じるなぁ…孤児の発生とか完全に止められる社会でも無いし受け皿もある、少なくとも成人したら社会の労働力として、そして物言う市民として受け入れられてるし期待もされてる。難民とか存在すんのか?貧民はいるけど貧しくとも生きていられるだけの社会制度まで整備されてるのは文明・文化レベルと比較したら破格だぜ?“全ての法則・法律には前提がある様に、全ての社会制度には前提がある、社会制度を支えるのは究極的には富であり技術である”…
「サエキさんのおっしゃる通りでwww確かに、ある程度社会が文明的・文化的に熟成しないと出て来ようがない不満や思想も意図的に煽られてるなwww」
「確かに“社会的出力に堪えない労力を求められる倫理は除外対象になる”のは悲しい現実ですけどね、でもそんな事は本来どうでもいいんです。今出来ない事を後世に託すのは現世に生きる者たちの権利なんです、勿論前提はいくつかありますよ?けれどね、そんな学術的な議論を交わす前に…」話してる途中で突然目の色が変わるザッキー「お題目を唱える前に、我々の手によって排除するべき案件が発生してます。コイツら他のマイノリティコミュニティをはじめ、ドワーフ同郷団にも圧力かけてきてるんですよ、小生意気にも「我々の活動によって貴方がたの権利は守られてるんだから金銭的・物理的な様々な援助してもバチは当たらないでしょう?」ってね」
「ほほう?上等だなぁw俺等の
「共通の価値観を確認した上で盃を交わした
「単純な殲滅なら二人の手は借りません、勧誘して欲しい人材も居ます。同時に西の帝国でも少々問題があってトム中佐に動いてもらいますので、是非とも二人にはニシノマチの地下…そうですね、改めて基礎を固めてきて欲しいですね」
面白い。単純なドロップ品稼ぎにも、そろそろ飽きてきた頃なんだよ。
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