第93話 御前試合開始


「え?ステータス?そんなん数値化して見れるんですか?是非見せてもらいたいですよ!…え?秘匿技術?見られて困るなら衆人環視の元で闘ったりしませんよヤダーw」


 御前試合とやらは頻繁に起きるものでもなく祭りの様相を呈するのだそうな。

 単純な賭け事もお咎め無し、そしてオッズを決めるのに最も重要なのが双方のステータスなんだそうな。

 行事としては神前試合に準ずる御前試合、公明正大を謳うが故にステータスやスキルはつまびらかにされるのだそうな。

 それを敬遠する者が多過ぎて御前試合が成立するのも久しいのだとか。

 ん〜、暗殺稼業だとか一発芸入試なら兎も角、闘う前に知られて困る要因とかあるのだろうか?

 試合毎に得意技が変えられる程、器用な修練など積めるべくもなく、後生大事に初見殺しを奥義として抱え込んでも先は無い。

 読まれて尚…否、読ませても尚通ずるからこそ奥義であるのだ。


 そして鑑定結果がこちら!(ばばばん!)



 

 ステータス


 HPたいりょく 1000/1000

 MP超必ゲージ 0/5

 

 STRちから あたっ

 INTあたま あたた

 AGIはやさ あたた

 VITかたさ あたっ

 DEXぎりょう あたたたっ

 LUKうん あたっ


 スキル


 ↓↘→ +P サエキボール

 ↓↙← +P サエキバースト

 →↓↘ +P サエキグレネード

 ↓↙← or ↓↘→ +K テレポート

 →↓↘ +K サエキリフレクター

 ↓↘→↓↘→ +P サエキボール・ミーティア

 ↓↘→↓↘→ +K サエキボール・スフィア




 うん、なんだか色々適当だねorz

 スキルとか、まんまインストカードじゃん…しかも2D格ゲー時代のだし。

 体力ゲージも最新の格闘ゲームは1万マックスが主流なんだけどなー、まーいっかw


 対戦相手は黒いフルプレートアーマーを着込んだカッチョいい騎士だ、獲物は槍&盾の様だ。

 え?相手のステータス?そんなんってる内に分かるし大体見たまんまVIT槍騎士でしょ?

 テンプレなら騎乗スキルも取ってると思うんだけど乗らないの?うん、こっちが乗らないから合わせてる?別にいーのに…ま、突撃チャージに上手いことカウンター合わせたらソレで終わっちゃうから手堅いっちゃ手堅い選択か。

 

 少し解説しよう、ゲーム時代はGvはそこそこ盛んではあったけどPvはそんなに流行ってなかった。

 Pvゾーンが制限されていたり、Pv好きなプレイヤー層がそもそもターゲットでは無かったとか色々理由はあったのだが一番の理由はゲームデザインが絶望的な程Pvにマッチしてないのだ。

 シナジーのあるステータス、スキル、装備でキャラを仕上げたら後は半自動的な戦闘で適宜アクティブスキルやアイテム使用で補完していくプレイングスタイルは長時間の狩りの快適さを提供する一方で、プレイヤースキルに依存する強さやテクニックを廃れさせていった。

 勿論リアルになりTPS視点からFPS視点に変わり様々な工夫や改善の余地を見出し研鑚している連中は一定数存在する。

 だがしかしプレイヤースキルで稼げるマージンで打倒するよりも、ステ✕スキル✕装備で稼ぐキャラクターパワーで擦り潰す方がお手軽だし何より安全な上にゲーム時代の実績もあるのだ。

 そんな文化の中で育つPv向けのビルドは揃ってVIT型だ、まず死なない事を前提としてチャンスを狙い機を見て限られた攻撃リソースを一気に注ぎ込む闘い方が主流になる。

 勿論、中には変態てんさいも居た。

 紙装甲で相手の攻撃を全てアクティブスキルで叩き落として尚且つ余りある攻撃リソースで削り勝つ。

 だがピーキー過ぎて使い熟すのが非常にシビア故に流行ることは無かった、「プレイヤーが強いのであって、ビルドが強い訳では無い」と評されたのだ。

 そう、強いビルドこそが評価される様なゲームだったのだ。

 パーティー組んで役割分担ロールプレイングしてモンスターを狩るゲームなのだから当然と言っちゃ当然なのである。

 

 それでもそんな世界をリアルで生きて精鋭とまで呼ばれる程の研鑽を積んだエリートが相手なのだ、どんな技術が飛び出してくるか楽しみではある。


 こちらが徒手空拳だと伝えるとモンクでもナックル系の装備はするもんだと注意を受けたが、モンクとゆーよりメイジに近いと伝えたらもっと変な顔をされた。

 杖なんか無くても充分ツエーからモンクがあるなら後から聞いてやるからさっさと掛かって来いって言ったら物凄く不服そうだった。




 開始線に立ち、向き合うと真っ直ぐに穂先を向けられる。

 やはり槍は懐が深い、しかし片手槍ってのは正直どうかと思うな。

 研鑽した自分のスタイルを崩さないスタンスは評価に値するが盾を持つと言う事はそこまでの接近を許す前提だ。

 槍の間合いを詰められた時の保険で持つには少々大袈裟に過ぎる。

 数値的に優秀かも知れないが盾チク片手槍ってのは実践運用は意外と難易度が高いのだ。



 

 まずは槍の間合いの有利が十全に機能しない事をサエキボールに乗せてお伝えしよう。




 

 

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