第18話 マニアックス
「これはwwwフォーティーファイブwww」
パイセンの目の前には自動拳銃が置かれている、ザッキー謹製の逸品である。
なんでもこの世界は物理法則が特殊らしく、一定以上の圧力が掛かると別次元に力が抜けるそーな。
つまり通常火器は充分な推進力が得られないそうだ。
少しでも推進力を得られる様に薬莢には一定方向に力が揃う様に魔法的処理がされているが、それでもリーサル・ウェポンにはなり得ない程度の攻撃力しか発揮されない。
ガンナーの職業スキルにより魔力的エンチャントが施されて初めて実戦に堪えうる威力が補われる。
だが、それでも特殊な銃器・弾薬・スキル以外ではワンショット・ワンキルには程遠く、弾幕で動きを抑える事を主眼に、あるいはそのまま弾幕で削りきる運用がなされている。
それに対してザッキーはバレルに魔術的刻印を施し、バレル内部を通過した弾丸に魔術付与する仕組みで威力の底上げを実現した。
又、こちらの世界で拳銃弾は9ミリで統一されていたのだが敢えて45口径のものを新規作成した。
45口径にする事で弾頭にも魔術的な特殊効果を付与可能になるそーな。
結果、低い貫通力と高いパンチ力を持つマジカルでミリタリーな兵器が誕生した。
「グリップは紙ヤスリの様な滑り止め加工と構えやすいサムレスト…それにナイフファイトに切り替える事を前提として削り込んである。スライドは滑らかなのにタイトに組み合いスライドストップとサムセイフティの位置も使いやすくアンビに仕上がっている…こいつはストライカー方式か?」
「ほぼ同じですけど撃発の仕組み自体が魔術が絡んでるんで空打ちしても大丈夫ですよ」
ホールドオープンで空の薬室を確認してスライドストップを戻す。
両手で構え、そっと銃爪を引くと乾いた音が小さく響く。
「丁寧な仕事だ、シアのキレが心地良い…サイトも狙いやすいデザインだしな…気に入った!ありがとう、ザッキー!…あ、草」
「無理して草付けなくていいですよ」
「いや、これでカモフラ率が上がるんよwww」
「mjd!?」
――――――――
「いーなー、カッコイーなー、俺ちゃんも1丁欲しいなーw」
「作ってもらえばいーんじゃね?wwwガンナーじゃなくても使えるらしいぞ?」
「…あるよ?」
どこぞの無いものは無いバーのマスターの如く渋い声で、1丁の拳銃を取り出すザッキー。
「ごん太バレルのリボルバーとかイケメン過ぎっしょw」
「うはwwwテンション爆上がりwwwモデルはブル?www」
「いや、同社のハンター357を参考にしました、バレル長は6.75です。
そこそこの重量はある筈なのにグリップを握るとフィンガーチャンネルが吸い付く様な感触で掌に落ち着く。
フロントヘビーなリボルバーは安定感が抜群で狙いをつけると吸い込まれるように照準が揃う。
「格ゲーってバトルエリアが制限されてるからさー、持ち技もそれ前提だから無制限に逃げられると追うのが大変なんよねー」
乱射ヤロウに逃げられたのは忘れずにリメンバーだぜ。
「コンセプトは中近距離狙撃銃です。構えやすく狙いやすいリボルバーで、弾頭に特殊効果は付与せずに只管弾速とストッピングパワーに全振りしました。こちらの世界の銃なので貫通力は残念ながらお察しですが命中したら魔力的にダメージが追加されます…そうですねエクスプロシブ弾をイメージしてもらえば大きな相違はないですね。弾数は6発ですが追撃・奇襲には充分でしょう」
「パーフェクトだザッキー」
「他にもあるの?www」
「設計図はありますけど今回はワンオフですし、管理体制が整うまでは大量生産とかしませんよ?試作品なら何丁か作る予定ですが…作って欲しい銃の種類とかあります?」
「おけ、要望をメールしとくわw」
夢が広がりんぐである。
――――――――
いつもの近未来チックな軽装にバックサイドホルスターを付けハンター357を突っ込む。
隣に並ぶ様に立つのはレッグホルスターにパイソン・45スペシャル(速攻名付けてた)を収めたパイセンである。
是非デートには毎回遅刻してきて欲しい出で立ちである。
チラリと視線を交わし、1号と2号なポーズを取る。
────「「変身」」────
瞬間、光の粒が身体を包む。
説明しよう!連日のダンジョン通いにより取得スコアが1,000,000点を超えて新機能「ロッカールーム」がアンロックされていたのである!一言で言えばお着替え機能であり事前にセットしておけば一瞬で着替えられるのである!しかも[トリニティ・インテグラ]で共有化されたよ!ちなみにオプションで光の粒のエフェクトが魔法少女チックだったりヤッターな男女チックだったり色々選べる仕様だ!ソシャゲなら課金で追加されるよ!やったね!
光の粒が消えると、なんとゆー事でしょー。
上から旅人の帽子、旅人のマント、布の服、旅人の靴、手には旅人の杖。見事な一般人スタイルである。
クエスト「炉が稼働してザッキーが生産チートモードに入るからニシノマチ近辺のダンジョンドロップ集めてこい。あ、流石にプレイヤー達も新生活にいい加減慣れた頃だろうから其の辺も見てくれば?お土産もよろしくね。」である。
「とあるテーマパークのマスコットキャラが居てな?ネズミがベースなんだが常に鼻水が一滴垂れてるんだそうなんだ…」
「ネズミってだけで攻めてるのに何そのエッジの効かせ方www」
「おつか…旅立ちに相応しい話題なんですかソレ?」
「一滴マウス!!」
あ、使っていいッスよ?
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