第7話  僕の部屋は天上界

部屋に入った途端。ガラガラとドアが閉まった。「えっ?」白い雲が部屋中を充満している。なんだこの雲は?さっきサラとチラリと見た時は特別変わった様子もない、ただの和室の部屋だったが。机?机は確か、この辺りに?僕は手で白いモクモク雲を手でよけながら探した。かろうじて机はあるべき場所にあった。しかしこの部屋の空気感、何か違うぞ。サラ、おばあさんに聞こうか、いやサラは、すでに寝ているはずだ。おばあさんにはせっかく僕のために用意してくれた部屋に文句をつけたくないし。仕方ない、このまま寝よう。見かけとは違い僕は案外と神経質ではないようだ。部屋中をモクモク漂う白い雲の中、僕は布団をひいて寝ることにした。

「トダ、トダ君。」誰かが、僕を呼んでいる。僕は寝ていたはずだが、目をこすり目を開けるとそこは懐かしい僕のいるべき場所が。天上界。運動会の最中だった。友達の氷川が「トダ、どこ行っていたんだ。玉転がし中に急に消えるからびっくりしたよ。」弁天も「トダはいつも目の前ことしか見えてないから、私も本当に玉を追いかけて地上の人間界に落ちちゃったかと心配したよ。玉転がしの大手毬は天上界では貴重な玉で無くすと神様に昇級できないんでしょう。はいこれ、鈴よ。これあげる。トダの姿が見えない時、その鈴音で居場所分かるから。」

「弁天、ありがとう。もらっとくよ。チリン。いい音色だ。」

弁天が真面目顔で「トダ、でもちゃんと勉強しなさいよ。成績ギリギリよ。成績表のぞいちゃった。」

「えーっ!弁天そうなの?」僕はそのことを知らなかった。

氷川も「トダ、全くダメだな。神様への昇級試験は筆記もあるから、その辺の歴史のこと覚えていた方がいいぞ。」

「そうだな。」

氷川が続ける。「それに今回の卒業試験はどうやら菅野先生が作るようだ。きっと難しいぞ。」

弁天が「神様になるのも大変。」

「そこ、君たち運動会にはちゃんと参加しなさい。神様は、体力も必要です。」少し恐めの声で明神先生が僕らを叱る。

僕は今?ここは?僕は記憶を戻した。そうだ僕は地上へ落ちたんだった。

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