第12話 弁天降臨

僕はサラと校門を出た。後ろからミユの声。

「サラー、待ってー。」

サラが振り向く。

ミユが少し意地悪そうに「サラ、気づくと教室にいないんだもん。そんなにお兄さんのこと気になるの?」

サラが「悪い。トダ、いや、兄貴、初めての登校だったからさ。」

「でもお昼は一緒だったよね。甘いなー。」


ミユが可愛いさ全開で僕に聞く

「どうだった?クラス?」

すぐに間にサラが入る。

「特に。」僕はそっけなく答える。

ミユが「冷たくない?」


僕の代わりにサラが答える。「兄貴は口数少ないからさ。」

ミユが何か言いたげに

「まあ、いいや。じゃ明日ね。バイバイ。」

「トダ、ごめん。ミユ騒がしでしょう。女子、うるさいよね。」

「サラが、謝ることないよ。ところで、お昼に一緒だった、サラの友達キリのお姉さん。霧島先生のことだけど。先生は透視能力でもあるのかな?僕のポケットの鈴を言い当てたんだ。」

「鈴?」

「コレさ。チリン。」

“スーッと白い影が”

「きれいな鈴の音色。でも弁天って書いてあるけど?」

「この鈴をくれた子の名前。僕が忘れないように書いたんだ。」

サラが顔を寄せて「えっ?何か思い出したの?」

「完全にはまだ。あの部屋にいる時は、今のこの記憶とは別に別の世界の景色やたぶん友達だと思う、思い出せるんだ。今は無理かな。」

「へーえ、じゃ、私が一緒にいてあげる。私が記憶すればいいんじゃない?」

「それは無理だ。僕1人だけの時だけに記憶が戻るようなんだ。」

「ややこしそうね。まあ、焦らずゆっくりで、いいんじゃない。おばあちゃんもトダのこと気に入っているようだし。」

「ありがとう。そうさせてもらうよ。」

「ただ今」サラが大きな声で玄関先。

おばあさんが「おや、新しいお友達一緒のようだね。」

白い影の弁天の姿がくっきり。

「初めてまして、弁天です。お世話になります。」

僕とサラはハモって「えーっ!」

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