第88話  白い衣のトダ

上の階に間違いなく白い衣のトダは移動した。

サラが「追いつめるわよ。あんなひどいことする神様なんて。絶対許さない。」

弁天も「あれは本当に神様?何か別のもが変身しているんじゃないの?」

「いや、あいつは、悔しいが僕らと同じ神様だ。逃げられたが、確かに感触があった。」

言葉が立て続けに出そうになったが、僕は息を大きくすって整えた。今整えないと、この境界線の世界ごと一瞬で跡形もなく消しさってしまいそうだった。「弁天、サラ聞いてくれ。僕らは神様だ。人間とは全く違う時間と空間の中で生きている。しかし、目の前の僕ら友人、人間たちは違う。生命体としての時間はあまりにも短い。短く過ぎる。さっきの白い衣のトダは、僕らの大切な友人の命を奪おうとした。なんの躊躇もなく。ありえない。ありえない。

僕のカラダの真ん中がいかりで覆われてしまいそうだ。サラ、弁天、2人がいてくれてよかった。あいつを捕まえる前にキリの落ちていく記憶とそれを見ていた人間、ミユ、レン、タクヤ、

そして賀茂君に石丸の記憶を消すことにする。」

弁天が「でもそれには巨大な力が必要なはず。

トダも教科書で習ったでしょう。」

「弁天、問題ない。今の僕には記憶を消すこと

などたわいもない。」

弁天が「何かあったトダ?この境界線に来てからトダだけどトダじゃない。大神様みたい。」

「弁天、僕、僕のままだ。ただ進化したんだ。

詳しい話は後だ。みんなの記憶を消すことが先だ。」

僕は2人の顔をしっかり見て

「僕らは神様だ。」

弁天が「そうね。」

サラも「そうね。ゲームのように簡単に人間を消滅させる、そんな行為の記憶は消してあげた方がいい。人間が持ってはいけない。」

「そうだな。僕ら神様の傲慢さ、なのかもしれないが、簡単に生命体の時間を奪う光景など、この境界線の世界でも、人間界の、どの世界にもあってはならない。

僕は決めた。すべての世界の管理者となることを決意した。」

七色髪のトダの声が。“管理者トダ誕生だな。

頼んだよ。“

僕の髪が光る。

僕は両手に全力を集中させた。

光が一体を覆う。

キリ達、みんなのカラダに光が入る。

「完了だ。」

弁天が「トダ、どうするの?」

「みんなはこのまま、寝かせて置こう。安全のために。」

サラが「さっきの奴、心あたりはないの?

顔はトダと同じ。でもさっき、キリが言ったように中身は全くの別人だったけど。かなり強そう。」

「大丈夫だ。塔の上。白い衣のトダは僕が追いつめる。」

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