第8話 トダ・高校へ初登校

「トダ、起きて。起きなさい。」誰かが僕を呼ぶ。布団が揺れる。布団をバーン。

「トダ、学校。遅刻するよ。」

遅刻?誰だ?氷川?いや、女子の声。

「弁天?運動会!」

「弁天?誰よ。トダ!」

僕は布団からガバっと起きた。「わあー!」目の前に知らない女子が。「トダ、寝ぼけないで。今日から学校でしよう。早く起きて。朝ご飯できてるわよ。早く来なさい。」

バタンバタンと足音をさせてサラは台所へ行った。台所からサラとおばあさんの声がする。

僕は着替えながら、ここは?天上界?いや。僕は着替えを済ませて一歩部屋を出た。

「あれ?」天上界の記憶が飛ぶ。試しに部屋へ一歩、逆戻り。天上界の記憶が鮮明になる。

“もしかして、この部屋は”それに手に鈴。弁天の鈴だ。記憶があるうちに鈴に弁天と書いた。そしてポケットに入れて部屋を出た。

普通の高校生の僕の出来上がりだ。僕は台所に向かった。

おばあさんさんが「トダ君、よく寝れたかい?」

「はい。お陰様で。」

「それはよかった。」おばあさんさんは、にっこり。続けて「朝ご飯、2人とも、ちゃんと食べて学校行くのよ。土地の食べ物は大切だよ。」

サラが食べながら「はーい。」片手をあげて返事する。

「サラ、お行儀が悪いわよ。」

「ごめんなさい。」

僕はトマトを口に。「おいしい!」

「そうでしょう。そうでしょう。私が作った野菜たち。おいしいに決まっています。」自慢げに笑ったおばあさんの顔が子供の見えた。

玄関先の庭で野菜たちも作っていたんだな。こんな街中で。おばあさんはすごいな。思った瞬間、庭の白い大きな大手毬の花が頭に浮かびニコッと僕に笑った。

「えっ?」

「トダ君、どうかしたのかい?」おばあさんが顔を覗き込む。

「いいえ、大丈夫です。」

「じゃあ、二人ともお弁当。はい。」

「ありがとう、おばあちゃん。」

「ありがとうございます。」

「トダ君には携帯もね。」

「えっ、おばあちゃん携帯どうしたの?」

「私は2個もちさ。」

「そうだったの?トダ、よかったね。お兄さん。」サラは携帯を僕に渡した。

「ありがとう。おばあちゃん。」

「いいのよ。サラあなたの大切になる?友達でしょう。」

バタバタでサラには聞こえなかったようだ。

僕は「ありがとうございます。」と頭を下げて

「行ってきます。」玄関を出た。駅近くでサラの幼なじみのレンと会う。「おはよう。サラ。おはようお兄さん。」

明らかにレンの目が疑っている。

こうして僕の高校生活がはじまる。


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