第101話  陰陽師の賀茂君

僕以外4人は軽いノリで賀茂君の家、陣地に行くことを楽しんでいる。

校門を出た。僕らの駅側と反対側だ。

サラが「どのくらいかかるの?」

「歩きで30分くらいだ。」

「結構歩くんだ。なかなかの距離よね。電車乗らないの?」

「電車は好きではない。カラダを鍛える訓練にもなる。陰陽師は体力も必要だ。それに歩くのは嫌いじゃない。」

「でも今日は私達と一緒だし電車で近道でよくない?」

「それは嫌だ。日課は曲げれない。」

サラがつっこむ「へえー弁天の頼みでも?」

賀茂君は弁天をチラリ見て強めの口調で

「あー、だめだ。歩きだ。特にこんな日は特にだ。」

サラが「弁天、弁天からも言ってよ。」

弁天はニコっと笑っただけ。

サラは「トダから言って。」

「だめだ。賀茂君の意図がわからないのか?

サラ、神様失格だぞ。氷川も歩きでいいよな。」

「もちろん。賀茂君はさすがだね。」

サラだけ?「意図?」

どうやら賀茂君は歩きながら邪念を捨て、微かだが感じる。静かに家まで結界を引いているようだ。さすが陰陽師。僕が唯一、君付けする賀茂君だ。

賀茂君の家はサラや僕らと逆の山側にある。

石丸の家にも近い。一瞬、石丸に声をかけようかと思ったが、きっと火祭の巫女に復帰できて嬉しくてたまらないようだ。色々準備もしたいだろうし、そっとしておこう。それに愛宕は、まだ、ヒイラギさん宅で大人の神様会議に出席していることだろう。

サラが「そういえば、私達が境界線へ行ってた時間は人間界はどうなってた?

「都合がいいが、人間界の時間は止まっている。学食の時計を見ただろう?

逆回りで元の時間に戻った。だからキリも午後の部活にそのまま行けた。」

「へえーほんと都合がいいね。」

弁天が「サラほんとなんにも知らないのね。」

人間の賀茂君が「人間界の神隠し。あれだよ。もちろん時が進むこともあるが、

普通は元の時間、元の場所に戻る。

だから元の時間に戻るため、以外と頻繁に起きているが、問題にならないのは、そのためだ。神隠しの相談は陰陽師にも舞い込むからな。」

「へえー、知らなかった。」

氷川が「サラは神様学校行っていなからな。授業で習ったよ。そうだ、今度天上界戻ったら、教科書持ってきてあげるよ。サラも試験受ける神様候補生だからな。」

「氷川、いい考えだ。ナイス。」

「えっー勉強嫌いなんだけど。」

みんなが笑う。

賀茂君の歩きが止まる。

正面古い日本家屋。

「ここが僕の家だ。」

賀茂家の表札が大きく掲げてあった。

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