第100話  人間界へ帰還

ミユが「よかったあ。帰って来れて。」

キリも「そうね。でも境界線に行ったなんて、巫女でもできる経験じゃない。

楽しかった。ありがとう。トダ。」

サラが「えっ?どうしてありがとうなの?」

「わかんない。けどそう思ったから。」

僕が消したキリの記憶。階段から突き落とされた記憶。残っていないようでホッとした。

僕は目でサラと弁天に合図した。キリの悲しい記憶は無事消滅されているようだ。

石丸は「私はごめんだわ。」

ミユが「そうよね。境界線には、石丸の好きな愛宕もいなかったしね。寂しかったね。」

「ミユ、そんなんじゃないから。」

2人は案外気があうのかも?と思った。

ニュウはどこだ?学食をキョロキョロうれしげに見て回っている。

それに姿がどこからどう見ても人間界の普通の高校生にしか見えない。

「ニュウ、その姿?前のあの方の時もその姿で人間界にいたの?」

「あの方の時は背伸びをした大人のトダの姿で。たぶんこの姿が自然かな。」

そうだ。古代ポメぺの町で会ったニュウは子供だった。

銀色髪に背は低いが僕にそっくりだ。弟と言っても誰も疑わないだろう。

「ニュウ、今日からお前は僕の弟だ。いいな。

夏休みあけ、2学期から高1、サラ達と同じ学年だ。」

「タクヤと一緒?」

「そうだ。」

ニュウは嬉しそうにタクヤに飛びついた。

キリが「私は午後からバスケ部の練習あるから行くね。また、何かあったら教えて。あと、雨乞い祭の盃、それに姉と八幡先生ありがとう。クリアになってよかった」

「じゃ。」とキリは何事もなかったように部活へ行った。

ミユが「キリ、行っちゃった。じゃ、私も帰ろーっと。」

「バイバイー」

サラがそうね、そろそろ解散ね。夏休みは、始まったばかりだし、またね。」

レイも「ゲームの続きしよう。タクヤは?」

「僕、バイト。家の手伝いだけどね。」

「じゃ」2人は出て行った。一般の生徒達も入って来た。「氷川?」「トダ、大丈夫だ。普通の生徒達に僕の姿は見えないよ。」

「よかった。」

残ったのは、ニュウ、サラ、弁天、氷川、そして賀茂君。

賀茂君が帰ろうとした。

僕は「賀茂君、これから天上界の大人の神様達を懲らしめる計画をたてようと思う。賀茂君にも参加して欲しい。いいかな。」

賀茂君はチラリ弁天を見て「いいけど。」

「でお願いがあるんだ。賀茂君の家、陣地内で話したいんだけど、行ってもいい?

陰陽師の陣地だと神様から隠れられる。頼む。」

「これから?」

「そう、これから。」

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