第99話   学食のドア

僕らは境界線のふわふわした景色の中の学食の建物に戻って来た。人間界へつながる学食のドアだ。

ミユが「わあー学食だ。」

キリが「これで戻れる。」

石丸が「そうね。」

サラが「早く戻りたい。」

レイも「そうだな、早く帰りたいな。」

僕はミュウに「ありがとう。ニュウのおかげで

早く着いよ。」

ニュウはタクヤと気があうようで、2人でふざけあっていた。

僕は「ニュウ、お前が人間界の石丸やキリ達に迷惑をかけたことは、いけないことだ。

反省しているな。」

ニュウはふざけるのをやめてみんなに改めて謝った。「ごめんなさい。」

みんなはニュウも別の意味で、犠牲者だと理解している。

本来のニュウの性格は、真面目の中の真面目だ。悪く言うと、頑固で融通がきかない性格のようだ。四角四面だ。責任感も強い。

だからこそ、神様の仕事、ポメぺの町の人々を救おうと懸命だった。だからこそ、その人間に裏切られた時の反動は大きかったと容易に想像がつく。たぶん闇は深く、もがいても、あたりどころがなく、苦しんでいたはずだ。

そんな時に七色髪のトダの声がかかった。

七色髪のトダにとっては、ニュウは僕らを試す試験の一コマにすぎない。しかしコマにされたニュウは救われるどころか、罪を、闇を深めていったはずだ。

“七色髪のトダのばかめ”はじまりの神様は人の気持ちがわからないのか?

少しだけ懲らしめようと思ったが、

僕は本気で七色髪のトダを懲らしめてやろうと、決めた。

はじまりの神様だからと、許されないぞ。

そして密かに反撃するためにもニュウは必要だ。

ニュウはタクヤとまた、ふざけている。

タクヤは、お調子もので変わり身が早い。

臨機応変だ。柔軟性もある。逃げ足も早い。

逃げることは悪くない。抱え込みすぎるニュウには真逆のタクヤの緩さが心地いいんだろう。

「ニュウ、一緒に人間界に来ないか?」

「えっ?人間界へ。」

「ニュウにとっては罪を犯した人間界だ。

ニュウがそそのかしち古狸の八幡先生もいる。霧島ユイもいる。火祭の神様愛宕もいる。みんなに謝れ。そして僕らと一緒に人間界の高校生をしよう。僕は七色髪のトダはもちろんだが、大人の神様達を少し懲らしめたい。」

「何、何?」みんなが集まる。

「トダ、何か楽しげな相談してるな。」

「えっ?私達も仲間に入れて。」

「よし。帰るぞ。」

僕らは学食のドアを開けた。時計がまた逆回りをはじめた。

窓の外を見るとサッカー部の練習が見える。「戻ってきた。」

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