第23話  ヤカラ愛宕VS神様候補生トダ

昼休み終了。僕は教室へ。愛宕の周りには女子達が群がっている。

男子はブツブツ。「イケメンはいいよな。しかも転校生。」「なんか悔しいよな。」

「そうだな。」僕も思わずつぶやいてしまった。

隣席の賀茂君が「転校生は君も同じじゃないか。トダ君。」

「えっ?」初めて賀茂君と話した。

「そうだが。」僕は遠目に愛宕をみた。目が合う。反らす。

賀茂君は「確かに、トダ君は影が薄い。多分。この土地の食べ物を食べた期間が短いからさ。時間が経つと影は濃くなるよ。影は言い換えると”存在”。」

賀茂君をまじまじと見た。「賀茂君、君は?」

「僕のことは後だ。トダ君、よく見ててごらん、薪さんが弱っていくよ。」

チャイムが鳴る。5時限目化学の授業が始まる。

「セルシウス温度は氷がとける温度0℃,水の沸騰温度を100℃。

絶対温度はT=t+273Kここ試験出ますよ。」

ムズイ、先生の話が入らない。僕は薪さんを見た。あれ?薪さんのカラダを薄い靄が覆っている。薪さんが咳をする。愛宕が薪さんの肩に手を「大丈夫?」

薪さんが「大丈夫よ。愛宕君、ありがとう。」

明らかに薪さんの顔色は悪い。

「きゃー。」薪さんの後ろの席から叫び声。

「火が、スカートに火が!」

先生は着ていた白衣を脱ぎ

薪さんのスカートの火をたたきながら「誰か先生を呼んでくれ。」

ドア近くの男子が走り出る。

先生は何とか消し止めた。

薪さんの生気がなくなっている。

「おい、大丈夫か。薪。薪。」霧島先生だ。

氷のような目で鋭く先生は愛宕をにらんだ。

「保健室だ。誰か、保健室へ運べ。」先生が叫ぶ。

賀茂君がスーッと僕を引っ張り。

「僕らが運びます。」

「頼む。」

賀茂君は霧島先生だけに聞こえるように「丑の方角、離に運びます。職員室に向かいます。」

「そうか。頼む、賀茂。」

賀茂君は「トダ君、君は左肩、僕は右肩を持つよ。いいかい。せーの。」

僕らは薪さんを連れて教室を出た。

薪さんはぐったり。

「トダ君、見たかい。薪さんは弱っただろう。」

「はあ?!」僕は腹立たしかった。

「賀茂君、君はこうなることが分かっていたのか。」

僕は賀茂君をにらんだ。僕らは職員室に着いた。同時に化学の先生が追いつき「保健室でなくていいのか。」

賀茂君が「はい、もうすぐ、救急車も到着します。玄関が近いと霧島先生の指示です。」

「そうか。」先生たちが集まる。

賀茂君が「先生、薪さんに水を飲ませてください。」

僕らは教室に向かった。

「賀茂君、説明してくれ。」




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