第24話 賀茂君は人間陰陽師

「賀茂君、君は何者?」

賀茂君はにっこり「陰陽師さ。」

陰陽師?確か人間界には我々神様に近い仕業をする人間がいる。彼らを陰陽師と呼ぶ。天上界の授業で習った。そうか賀茂君は陰陽師か。

「賀茂君、陰陽師なんだな。みんなから頼りにされているんだろう?なのにさっきは先を見通せる力があるのに、どうして薪さんを助けなかったんだ。」僕はあのとき、腹立たしかった気持ちをぶつけた。

賀茂君は冷静な顔つきで「トダ君、何か誤解をしていないか。確かに僕は先が読める。その場の条件、状況判断で答えを出せる。トダ君も含め人間達は僕ら陰陽師を勘違いしている。僕ら陰陽師は、トダ君達とは違う。

頼まれ、対価を支払ってくれれば、仕事はするよ。神様じゃあるまいし、慈善活動に興味はないよ。」

賀茂君の言い方に違和感を覚える。きっと彼は僕のことが嫌いだ。

賀茂君が「トダ君、君こそ薪さんを助けるべき立場じゃなかったのか。君には先を見通す力も人間を助ける力も何もないんだね。

はっきり言うよ。君では役不足だよ。」細く微笑む賀茂君の顔が冷たい。

返す言葉が無い。賀茂君の言う通りだ。

1-Aの教室前を通る。教室から弁天が飛び出る。「トダ、大丈夫か。」

と同時に弁天が「おい、賀茂、トダに小賢しいことしていないだろうな。お前の式神は時に我々の邪魔をする。」弁天の目が賀茂君を敵視する。

「弁天、大丈夫だ。僕が、頼りなかったせいだ。彼は何も悪いことはしていない。」

先生が「こら、弁天、授業中だぞ。早く教室に戻れ。」

「はーい。」

「2年お前らも早く戻れ。」

「はい。」

ガラス越しにみんなの顔が見えた。キリも賀茂君をにらんだ気がした。

僕らは2階の教室へ階段を上がった。途中、踊り場の中階段に大きな鏡前で。

「トダ君。ストップ。」2人で鏡の前に立った。僕らの姿が写っている。賀茂君がブツブツ何か唱えた。白い式神が鏡に張り付きた。

鏡の僕の姿は消えた。賀茂君だけが映っている。

賀茂君が「はい。これが答え。トダ君。

この式神には人間界に存在するものだけを映す

よう力を与えた。君は鏡にいない。映らない

トダ君は人間界に存在しない。君からは悪き異臭はしない。君は神様だね。しかも、だいぶん役不足の。」

「何をしている。」鏡の式神が剥がれる。

「薪は大丈夫か。」

「応急処置は済ませています。」

「賀茂、トダをいじめるな。」霧島先生は落ちた式神を見た。

「放課後、2人とも職員室へ来い。」








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