第91話  消滅回避・試みる幼いトダ

会話は終わったようだ。幼いトダは神殿へと走る。走りながら市場の人間達に「明日、火山が爆発する。みんな島を出るように。」

一生懸命に叫んいる。

市場の人間達は子供の神様が遊んでいるのだろうと真剣に聞いてくれる人間はいないようだ。

サラが「なんだか、かわいそう。私達にできることはないの?」

僕は「残念だが、無理だ。僕らは同じ時空にいるだけだ。これあくまで古大鏡の中だ。実際の出来事に僕らは干渉できない。」

氷川が「神様戦争、七色髪のはじまりの神様トダにあった時と同じだな。」

「その通りだ。僕らは何もできない。時の傍観者だ。」

サラが「でもやってみないとわからない。みんな、消えちゃうんだよ。」そう言って、サラが幼いトダのところに駆け出した。

「トダ、大丈夫よ。私達も手伝う。みんな逃げて。明日火山が爆発する。早く逃げて、」

サラは叫び続けた。

幼いトダが「お姉さん、未来から来たの?」

「そうよ。」

突然幼いトダが止まる。

「お姉さんの声も姿もこの時代の彼らには、何も聞こえないし、見えないよ。」

僕ら弁天、氷川の3人は、しばらく遠くから様子を見ることにした。

サラは幼いトダの背中に手をおいて見えなくても声が届かなくても、とにかく私は叫ぶ。ここにいる人達が、1人でも助かるなら。

幼いトダ、時間がないんでしょ。

ほら、行くわよ。」

2人は「逃げてください。火山が爆発します。

逃げてください。」

懸命に人々に叫んでも誰1人、立ち止まり、信じる人は、いないまま2人は神殿まで来てしまった。

僕ら3人も距離をおいていたが、さすがに神殿の中には、この状況では入れない。

僕は神殿入口で幼いトダに声をかけた。

「どうだい?人間達は君の言うことを聞いてくてたかい?」

「君は誰?君達も未来から来たよね。お姉さんの仲間?」

「そうだ。僕らは未来の君が人間界で騒ぎを起こした。君を捕まえに来たんだ。」

「僕とよく似た、お兄さん、今の口ぶりじゃ、まるで僕が悪者じゃないか。」

「その通りだ。」

「ひどいな。」

「そうだな。しかし君がどうして人間界をめちゃくちゃにしようと思ったかの原因が

知りたかった。でも今の行動を見ていて分かった気がした。誰も信じてくれなかったことが悔しかったんだね。それに君が向かうこの神殿の中の神様が関わってそうだな。」

「なぜ分かったの?」

「それは僕も神様だからさ。」

「これから神殿内の神様メテオスに会いに行く。神様メテオスは信じてくれるはずだ。」

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