第92話 神様テオリオ
僕らは幼いトダの後につづき神殿内に入ったと同時に声が聞こえた。
「これはこれは、未来からの客人ですね。どうぞ。」大きな結界の扉が開いた。
僕らは神殿内に入った。
幼いトダは「神様、テオリオ様大変です。明日この町ポメぺは火山で消滅します。人々は僕の話を信じてくれません。どうか、みんなを助けてください。」
神様テオリオは「時越の鳥が知らせたんですね。」
「はい。」
神様テオリオは「未来の客人。あなた方は時の傍観者。いかなる時も、神様の決まりごとは、破ってはいけません。そこの黒髪の女よ。」
「サラです。」
「サラか、ことわりを破った愚かな者よ。未来の客人たちよ。直ちに立ち去れ。この娘、サラは、ことわりを破った。時がこの娘、サラをのみこむ。去れ。」
僕らはぐるぐると宙を舞いながら時空の中へ。
幼いトダの声が微かに「ごめんなさい。」
「ドーン」僕らは元の境界線に戻った。
目の前に古大鏡が。
弁天は振り返り古大鏡に向かい叫ぶ。
「サラー!」
古大鏡を叩く。声も届かない。
氷川が「トダまずくないか?サラだけが残された。どうするんだ。サラのこちらの世界での存在は、消滅している。
はじめから存在すらしていない。記憶があるのは、僕ら3人だけだ。」
「そうだな。氷川の言う通りだ。レン達が目覚めたとして、誰もサラを覚えていないだろう。」
「トダ、なんとかならないの?」
「そうだな。七色髪のトダがここに僕らを呼んだ。・・・いや、よそう。なんとかできるはずだ。少し時間をくれ。」
「分かった。」氷川と弁天は深く椅子に座った。
僕は脳内を整理する。僕らは幼いトダの古代ポメぺに行った。幼いトダは人間を助けようと一生懸命な神様だった。明日の火山であの町は消滅してしまう。幼いトダと神殿の神様テオリオは逃げるのだろうか?
たぶん逃げるだろう。人間達はどうだ?誰一人逃げないのか?神様を信じないのか?
口では神様、神様と言っているのにいざというときに信じない。やはり人間は愚かだ。改めてそう思う。しかし、今はサラの救出が先だ。確かに時の傍観者を破った。しかし実際はあの時代の人間にサラは見えず聞こえなかった。
「おかしい。」サラはあの時に干渉していない。そう、思いこませた神殿の神様テオリオは怪しい。サラが危ない。「氷川、弁天、もう一度あの世界に戻るぞ。」僕らは古大鏡の前に立ったとたん、ぐるぐると鏡の中へすいこまれていく。
”がんばりたまえ諸君。”七色髪のトダの声。
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