第95話 幼いトダの闇
僕らは幼いトダ、あの方の闇を見た。
しかし、今はサラを救うことが先だ。
「みんな急げサラはこの地下にいる。」
僕らはサラの生命体のエネルギーをたどり神殿地下でサラを見つけ救い出した。
「サラ。よかった。」弁天が抱きつく。
サラが「ドラゴンの生贄にされるところだった。」半泣きだ。
「分かったサラ。もう大丈夫だ。迎えに来た。泣くな。大丈夫だ。」
僕は右手でサラの頭を撫でた。「よくがんばった。」
氷川が「ところで、火山噴火はどうするんだ。見捨てるのか?僕らの力じゃ無理だが、トダなら何とかできるだろう。」
「そうだな。この時代に関与できるが、してはいけない。確かに人間界の人間達は助けたい。幼いトダの気持ちもわかる。しかし、決定的に間違ったところが、幼いトダにはある。
ポメぺの町の人間達を救いたい?
それは彼、幼いトダの神様としての傲慢さだ。
サラ1人の生贄、犠牲を払って多くを救う。
バカげている。1人もたくさんの人数もどちらも生命体の価値に変わりはない。たとえサラが、未来人でこの時の時代の生命体を傷つけることはないからだと。思い出すと腹が立つ。勝手な思い込みの正義感など神様には必要ない。
すべてを救えなければ神様を名乗るな。」僕はつい感情的に言葉を吐き捨てた。
氷川は冷静に「そうだ。トダの言うとおりだ。しかし、僕ら神様も完全体ではない。時にどの時代の人間達もみんな勘違いをしているようだ。」
弁天が「そうね。人間界の人間は自分たちの勝手なイメージで私達神様を完全だと思っている。神様だって”生まれてすぐになんでもできるわけじゃない。現に私達、神様学校に通っている神様候補生よね。」
半泣きしていたサラが「ちっと待って、そうよ。私達は神様候補の学生よね。思い出した。トダはペーパーテストは優秀だけど、実体験がない。そういえばここにいる私達って試験中?」
弁天が「もしかしてこれって?」
氷川が「試験だ。たぶんな。僕らは試されている。」
僕ら4人に聞こえるように七色髪のはじまりのトダの声「よく気づいたね。試させてもらったよ。とりあえず、クリアかな?戻れ元の時へ。」
僕らは時空空間に吸い込まれ宙に浮く。
その瞬間、僕は「七色髪のトダ。ポメぺの町の火山噴火は?」
「あれは事実。止められない。幼いトダの話に耳を貸さなかった町の人間達は消滅。」
「幼いトダは?」「さっきのまま。人間嫌いになったようだ。」
僕らは古大鏡の中へ。元の世界に戻る。
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