第96話   神様も色々だ

僕らは古大鏡の前に戻って来た。

今度は放り投げられなかった。

氷川が「トダ、これからどうするんだ。

あの方の正体は分かった。幼いトダの闇も分かった。人間の友人達はみんな眠っている。眠らされてる。これは試験だ。深追いしなくて良くないか?」

「そうだな。しかし、たぶんあの方の存在、闇は試験と関係なく事実だ。

幼いトダの闇を解こう。試験は後回しだ。あの方を探そういや、捕まえよう。」

弁天が「いいよ。優等生のトダが試験後回しの覚悟があるなら。目の前のことが重要だと私も思う。」

氷川も「優先順位は試験より闇解きが先だと僕も思うよ。」

「優先順位か・・・そうだな。」

天上界の神様学校の卒業試験は絶対的なものだ。

もちろんストレートで卒業できた方が天上界での勤めも位が高い所につける。僕は何も考えず流れに乗って来た。

もちろん天上界では優等生だと自他承認。

だから、なんだ。

何かを犠牲にして何かを獲る。

当たり前のことだ。

その犠牲の中身を他言しなくていい。

自分が自分の中で自分が納得できていればいい。

何に価値の重きを置くかは、それぞれだ。

神様も色々だ。

「弁天、氷川行こう。」

「行こう。行こう。」弁天の声が軽い。

氷川も「追試の時は、トダ、カンニング頼む。」

弁天が絡む「トダー。私もー。」

「何、ふざけてるんだ。行くぞ。」

僕らは塔の上にのぼろうと階段へ向かう。

「パリン。」

古大鏡が氷のようにきらきら輝き砕けて消えた。

僕らは振り返らず階段を上った。

上がりきった所に“あの方”幼いトダがいた。

僕らは正面に立った。

幼いトダは「君達はあまり良くない性格だね。僕の過去の記憶を見るなんて。

今からでも間に合うよ。試験に行きなよ。」

「行かない。」「私も。」「僕も。」

「そうか、君らは神様だったね。慈善のつもりか。僕を救う?助ける?それとも更生でもさせるきか?正義感を振りかざすのか?」

幼いトダは弾丸のように言い立てた。

「幼いトダ、気は済んだか。それだけ嫌味も言えば満足だろう。お前を助ける?ふざけるな。

お前にお文句を言いに来ただけだ。

僕ら天上界の神様だ。

しかし、今は人間界のただの高校生だ。僕は僕の大好きな友人達が困っているから、ただその根源を捕まえにきた。それだけだ。」

幼いトダが拍子抜けする。

「幼いトダ、確保。」「やった!」

「完了。次だ。」

幼いトダに「試験に戻る。境界線から出るにはお前が必要だ。お前も来い。」

仲間がまた増えたようだ。


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