第81話 青い塔への道
境界線は天上界に近い世界だ。すべてが曖昧だ。時間。上と下。善と悪。白と黒。右と左。光と影。すべてグルグル回る絵のようだ。この空間の周りを回っている。この世界では単純でまっすぐな人間にはとっては楽な空間だ。人間界と同様が目に入る。が一方、悩み、妬み、暗いマイナス面を持っている人間にはあべこべの世界。グルグル回る絵の中に引き込まれていく。
目の前の事柄、景色があべこべに映る。その人間の行動でその人間の深層心理が手に取るように分かる。
だが、みんなには黙っておこう。それぞれ見えている景色は、別々だ。本人だけしか見えない。たとえ神様でも見てはいけない。僕はそう思う。
「よし、みんな行くぞ。ここでは、行く道にいたるところにトラップがある。引っかからないように。」
「はーい。」レンたちのグループが一番に歩き出した。続いてタクヤ、賀茂君たち、そして僕らだ。目指すは森の向こうに青い屋根の塔だ。
レンが「この道なんだか、くねくねしてないか?」キリが「いいえ、私にはまっすぐ一本道に見える。でも少し坂道かしら。」レンが「えっ?俺と違う。弁天はどうだ?」
「私は神様よ。ここは天上界に近いわ。私には平らなまっすぐな道に見える。塔の入口の扉まで見えるよ。」
レンは振り返り「サラ、お前もそう見えるのか?」
「そうね、だいたい一緒。けど塔の扉までは見えないけどね。」
「そっか。タクヤはどうだ。」タクヤの目には道は狭く下り坂。両サイドに悪魔が槍を持って”おいでおいで”しているようだ。”こんなの言えない。
タクヤが噓をつく「レンとほぼ同じだ。」
「賀茂はどうだ?」「まっすぐに塔は見れるが、道が二つに分かれている。」
「へえー2つね。サラはどうだ?」「私も賀茂と同じで道が分かれている。」
ミユは聞かれる前に「私は、道幅が広くて、ほぼまっすぐ。途中にえべっさん?の甘味処の看板が見えるよ。」
「なんだよ、それ。マンガみたいだな。」
「そうね。」えべっさんどうしてるかな?みんなやトダがいてくれるからいいけど、えべっさんと一緒が良かった。ミユの心の声が聞こえた。
「石丸?君にはどんな道に見えるんだ?」僕が聞いた。
「私の道は地下の道。暗くて先が見えない。遠くに少しだけ明りが見えるよ。」
レンが「トダ、人によって見え方が違うのはなぜだ?目的地はあの塔に決まっているのにさ。ほんとヘンテコな場所だな。境界線は。」「そうだな。」
僕らはまず森を目指した。
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