第36話  天野家 通知表

「じゃあ、明日。」

明日から夏休みだ。水系の巫女、霧島家に盗まれた”雨乞い祭の盃”を探すため、キリの家に集合の約束をしてわかれた。

天野家の表札が見えて来た。

サラと弁天がお腹が空いたとダッシュで天野家の門をくぐる。

僕。門横の庭の草木をみる。”雨を降らせてやるからな。もう少し待っててくれ。”白い花の目が僕にお願いとウインクした。

「ただいま。」3人でハモる。

「はい、お帰りなさい。通知表見せてごらん。」

僕らは、しぶしぶ、ヒイラギさんに通知表を渡した。「じゃあ、3人とも着替えてから部屋に来なさいね。」「はーい。」またハモる。3人の息が合ってきたようね。そう、つぶやきながら部屋に戻り氷川とお茶を飲んでいる。

「ヒイラギさん、それなんですか?」

「氷川君、天上界では通知表はなかったかしら?実績表のことですか?そうそれ。人間界では学期ごとに1-5の数字で評価されるのよ。」

「じゃあ、天上界の実績表と同じですね。あれは項目ごとに実際行っただけの数字で記入されます。実数なので毎回見るのに勇気いりますよ。ズルと音を立ててホシノ茶を一服。ヒイラギさん、このお茶ほんと、ほんのり甘くておいしいです。落ち着きますね。」

「気に入ってくれたようでよかったわ。天上界の九エリアにあるわ。で、この人間界での

通知表、ちょっとだけ天上界と違うのよ。天上界は実績、人と比べるのではなくて、個人の実績の記入でしょう。人間界は1-5の数字の振り分けがあって、クラス全員付与5はありえない。数字を振り分けるの。たとえ5の力でも5をとれずに4の人がでてくる。しかも、数字は先生の独断で決めるのよね。ちょっと不公平感が残るシステムよね。」

氷川が「人間界はややこしそうですね。AI

利用のシンプルシステム評価が良いような。昔からそうですが、人間の行動は時に理解に苦しむ時があります。」

「そうね。それが我々神様と人間の違いです。」ヒイラギさんは続けて「たぶん、今回のトダ君の数学の通知表は、かなり低い数字のはずよ。赤点とらなかったけどね。ほらね。2」

氷川が「2。ひどいですね。トダは天上界ではとても優秀な生徒ですよ。赤点とったら下僕だとがんばっていたはずですが。なんか変ですね。人間界は。」

サラと弁天が「わあー、氷川君だ。」

「お邪魔しています。」

僕は氷川に愛想笑い。「赤点免れたのにひどい成績だよ。」

ヒイラギさんがにっこり。

「みんなよく頑張ったね。」



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