第35話 夏休み探せ・盗まれた雨乞い盃
期末テスト終了。明日から夏休みだ。学期末最後の学食に僕らはいた。
レンが「今年は雨が少ないな。」
確かに高温の晴れつづき。僕は窓の外を見た。脳内にヒイラギさんの庭の目のついた花達が『雨をくれー』と叫んでいる。
ミユが「レンの口から雨?雨がどうかしたの?」
「おばあちゃんの家、ミカン農園でさ、今年は雨が少ないから小粒かなって。それに水なしでこの夏ミカンたち耐えれるか心配してたんだ。」
サラが「そうね。確かに今年は極端に少ないよね。ねえキリ、霧島家は水系の巫女。雨乞い祭しないの?」
「それができないの。」
「どういうこと?」
僕は視線を感じた。愛宕が学食に女子を取り巻きしながら入ってきた。
愛宕は僕らのテーブルを覗き込み「霧島さん、久しぶりです。」
取り巻きの女子達がキリをにらみつける。「ねえ愛宕君、あの1年と知り合い?」「いや、僕とは真逆のかた、顔見知り程度です。あれトダ君もいたんですか、影が薄くてわからなかったよ。」
ムッとする僕に変わってサラが「トダ、兄貴の悪口言わないで。」
弁天は「おい愛宕、トダの影が薄いのはもともとだ。馬鹿にするな。」
取り巻き達が「愛宕君、早く行きましょ。野蛮なの人達。あれでも女子?」弁天が椅子に片足をあげて。次の瞬間、賀茂君が、愛宕の取り巻き達に
「今、奥のカフェテリアで可愛い女子限定にパフェ販売してるよ。あといくつ残ってたかな?」「えーっ賀茂君ほんと?愛宕君こんな人達ほっといて行きましょ。」
弁天は怒ったまま「早く、行け、バカ女たち。」タクヤが「弁天ちゃん、あの女子達、弁天ちゃんの美貌に嫉妬してるだけだってほっときな。」
僕の脳内に声が『君には色んな仲間だいるようだね。トダ君。』微かに聞こえた。
賀茂君が僕の背中を「バッシー」と叩いた。
「弁天、結界を張れ。そこの水系の巫女さん、話があるようだ。」キリが賀茂君を見る。賀茂君は小さな声で「弁天、顔だけはお前の方が勝ってる。」えーっ?
弁天には聞こえてなかったようだ。鈴音で結界が張られた。
「巫女の霧島、話せ。」
「雨が降らないのは私のせい。雨乞い祭に使う”雨乞い盃”を失くしたの。」
「やはり、そうだったか。」丸太郎が現れた。「今年は雨乞い祭に呼ばれないと思ったらそういうことか。巫女よ。犯人は。」
賀茂君が即答。「愛宕だ。」
「陰陽師、その通りだ。奪い返しに行くぞ。」「はい。」
明日から夏休み。僕らは霧島家に集合することにした。
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