第26話 天上界の氷川・一服
「ただいま。」ダッシュでサラが玄関へ。
「トダ遅かったね。どこ行ってたの?」
まるで母親のようだ。
「心配してくれたんだありがとう。霧島先生に呼ばれて。」
「そう。」
「弁天は?」
「おばあちゃんとお茶飲んでる。」
奥から「トダ君、ご飯の前に一服いかが?」
「いただきます。カバンおいてきますね。」
僕は部屋へ。カバンを机の上。
白い影。「わー!」
「何だ氷川か、驚かせないでくれ。」
「いつものことじゃないか。」
「そうだな。今日はどうした?」
トダ、陰陽師の賀茂と接触したな。いいことだ。我々は人間界の陰陽師、霧島家のような巫女と親しくならなくては、いけない。和を重んじている。大鏡の投影でみたよ。神様試験合格、近づいたな。」
「氷川、ちゃんと見てたか?」
「はじめと最後の握手」
「いい加減だな。賀茂君は確かに冷静で仕事もできそうだ。しかし癖がある。
彼は対価を求める。人間らしいと言えば人間らしいが。付き合うには少々お金がかかりそうさ。僕は弁財様や大黒様でもない。
賀茂君の”対価は?”の言葉が耳に残るよ」
「トダ、苦労してるんだな。少しの時間しか人間界にいないのに、なんかもう、俗世間につかってる感じだ。かわいそうに。」
氷川が泣いたふりする。
ドアが。
ヒイラギさんが「トダ君、開けるわよ。君は・・・氷川君ね。トダ君と弁天と同じ次神3回生の。」
「はい。お邪魔しています。」”あれ?この人どこかで「えっーーー!」学校の壁に飾ってある肖像画の「大神の創設のヒイラギ様ーーー!」
「氷川君、そんなに緊張しなくていいのよ。ここは人間界。ただのヒイラギでいいのよ。そうだ。氷川君、君も一服どう。」
「はい。」
ヒイラギさんは僕の部屋の結界を解いた。
氷川君が人間界に一歩踏み出す。
「大丈夫よ。」
サラ、弁天が座ってお茶を飲んでいた。
「氷川どうしたの?」
「私が誘ったのよ。」
「私、おばあちゃんの孫のサラ、ヨロシク。」
「よろしく。氷川です。」
お饅頭が4つ。
「おばあちゃん、お饅頭1個足りないよ。」
「残念だけど、氷川君は食べれないの。」
「前にも言ったけど土地のものを食べるとその土地のものになるって。氷川君にはお役目があって近い将来、天上界の監査人になるの。だから人間界の食べ物を喉に通すことはできません。」めずらしくキツイ口調だ。
「ただし、お茶だけはいいのよ。」ヒイラギさんがウインクした。
その後、氷川は天野家の常連となる。
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