第105話  怪しい弁天

氷川と僕は賀茂家を出た。「よし、いいぞトダ。

おふざけは終わりだ。」

「そうだな陰陽師の結界からやっと抜け出したな。」

氷川が「教科書では習っていたが陰陽師の結界はすごいな。人間の力だとは思えないくらい、強力な結界だった。僕は頭がまだズンズンするよ。」

「そうだな。賀茂君の力は、ほんと強い。

彼は特別だ。

ところで氷川、大人の神様を一ヶ所に一度に集めるにはどうしたらいいだろうか?」

「そうだなあ、怪しまれずにかあ。難しいな。」

「あと氷川、弁天の様子が少しおかしかったが、何か気づかなかったか?」

「そういえば、僕達から離れたそうだったな。実際こうして追い出されたしな。」

「それにサラは結界張りの落とし穴、つくるのは難しいんじゃないか?

普通は僕達どちらかを残すのが妥当だろう。」

「そうだよな。」

「だからニュウに合図しておいた。何かあればすぐに連絡が来る。」

「さすがトダ、抜かりないな。」

「それに賀茂君も。もちろん信頼はしているが、彼は何かを隠している。」

「何を?」「それは分からない。まあ、賀茂君のことはいい。悪いことでは,なさそうだ。」

「そうっか。」僕らは石丸の家近くの坂道まで降りてきた。

氷川が「賀茂の家と石丸の家近いな。寄る?」

「寄らない。」「あれ?なんかお囃子の音しないか?」

遠くから聞こえる。祭りの音。「夏祭りか?」

「これだ。氷川、大人の神様を一ヶ所に一度に集める方法、見つけたよ。祭りだ。夏祭りだ。祭りは大勢が集まる。怪しまれることなく、参加してもらえば。一度で落とし穴に落とせる。どうだ?いい考えだろう?」

氷川がワクワクした顔をして「トダ、天才!いいアイデアだよ。」

男子2人で顔を見合わせてニヤリ。

「早速、夏祭りの招待状をつくろう。」

「そうだな。石丸の神社、火祭の神社が復活。神様達の神様だけの夏祭りってことで。」

「それいいね。石丸の神社は建設中だし代わりに賀茂の家広いし、近いしお祝いの宴の前夜的な。夏祭りってことでいいんじゃないかな。でも前夜祭って、なんか人間界の高校の文化祭のノリだな。」

氷川が「それが、逆にいいんじゃないか。大人の神様達も人間界の文化祭なんかいったことないだろう。興味もわくだろう。夏祭り文化祭みやたいな?」

「そうだな。風神、丸太郎や時越がはしゃぎそうだ。それに七色髪のトダ。彼を呼び込まないとはじまらない。よし手段は整った。あとは落とし穴だ。うまく、進んでいるといいな。」

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