第76話  時間が戻る磁場公園

「あの方には気をつけて」消える寸前のカラスの優しい声が耳に残る。

キリが「トダ、大丈夫?カラスと話していたようだけど。」

「カラス?そうだキリ、妖精は見えた?」

「いいえ、見えなかったけど。」

「そうか。たった今、2人は消滅したんだ。」

「消滅?何があったか教えてトダ。これでも風神様の雨乞い祭の巫女よ。それに、この公園、気になることがあって、長い時間私は入れないの。ここに来ると記憶が小さい頃に逆戻りするの。」

「そうか、キリはやっぱりさすが丸太郎の巫女だな。すごいよ。さっきのカラスは僕らが探している妖精シュウと行動を共にしていたカラスだ。レンの家で話したの覚えてる?人間達に仲間の妖精シュウは消滅させられたってこと。悪い妖精シュウの誕生だ。しかしどうやら僕は読み違いをしていたようだ。実際はその時妖精シュウも消滅させられてたんだ。人間界で悪さをしていた妖精シュウは昔、妖精シュウが助けた人間の子供がカラスに変身してずーっと妖精シュウを守っていたようだ。妖精シュウの消滅後はカラスがカラスの意志で妖精シュウの幻を造りだし人間達に復讐をしていた。」

「じゃ、悪い妖精シュウは幻だったの。私達は子供に幻に振り回されていたの?」

「そうなる。ただ、それだけカラスのいや、あの子供の心が無垢で純粋過ぎて反動、憎しみが大きかったんじゃないかと思う。時に大人より子供の方が無謀でこわいとは、まさにこのことだと実感したよ。カラスはその子供なりに、納得したんでこの公園に来たんだと思うよ。この公園はさっき、キリが感じたてたように時間を戻す公園のようだ。1分、1年戻るようだ。ただそれも個人差があるようだ。時間のスピードは個々人で違う。感性、能力が違うようにスピードは違う。でもあんまり長くいるのは良くない。出よう。今の彼らにはここは必要ない。あるとすれば、僕が天上界に帰るときぐらいかな。」

「トダ、」あまり感情をださないキリの顔が不安そうになったのを僕は見逃さなかった。僕はキリの肩を「ポン」軽くたたいて。「大丈夫だ。時間はまだあるよ。」

キリがとびっきりの笑顔を見せた。僕のカラダの真ん中がドキっとした。

小さな風が吹いた。僕は「大声で。帰るぞみんな。早くここを出ないとみんな消えてなくなるぞ。」

ミユが「何それ。トダの意地悪!」

レンがブランコのチェーンに手をかける。「えっー!手が小さくなってる!」

「だからみんな、早くでてくれ。」

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