第42話 石丸ミカの陣地

僕らは石丸ミカの陣地の中に入った。もちろん、賀茂君が入る前にみんなに式神を渡した。玄関からリビングへ。家の中もコンクリート打ち放しのおしゃれな内装だ。ミユが「きゃー素敵ね。でもうちの方が大きいわ。」

レンが「ミユ、何、張り合っているだ。まあ、かっこいいのは認めるが、畳の自分ちの方がやっぱいいかな。なあ、サラ。」

「うん。」サラも即答。

タクヤは、この手の家は好きたしく「マウンテンバイクとか置いたらカッコいいだろうな。」と羨ましがる。

キリ、弁天、賀茂君は無言だ。

真ん中に大きいなソファーがあり。愛宕が「どうぞ。」と手を伸ばす。まるで家主であるように。

しかし明らかに違う。家主、実権は愛宕の横にいる。石丸だ。凄まじい負のエネルギーを感じる。たぶん、愛宕は...

石丸が「トダ君、君とは話したことがなかったね。どう?この町は?」

「いい町だと思うよ。人のぬくもりを感じられる。子供たちの声が飛び交ういい町だ。」僕はサラと初めてこの町、人間界に足を踏み入れたときのことを思い出していた。

「そう、ありがとうトダ君。この町ずーっと昔は、今、トダ君が言ったような町だった。

でもある時を境に変わった。」

レンが「俺はずーっとこの町に住んでいるけどあんまり変わってない、気がするぞ。」

石丸が話し始める。

「キリ、賀茂は私と顔見知り。元同業者。賀茂は私を警戒してどうせ式神を束のように持ってきているはず。キリは。いいわ、話すわ。私の家は火祭の巫女の家系。おばあちゃんが生きてた3年前迄は。その後引き継いんだけど、うまくいかなくて私の巫女としての才不足。自分を責めた。その時に仲間だと思っていたキリから“辞めたら”の言葉。私がどんなに苦しんだかわかる?

ここの場所は“池の宮”と呼ばれている。池があって裏山と繋がっていたから魚やカエル、トンボも飛んで綺麗の池だった。そして小さな神社がありお祭りも賑やかだった。」

レンが「俺、知ってる。カエル捕まえて、神社

のおばあさんに叱られてた。お祭りも、サラ一緒に行ってたよな。そう言えば最近祭りないな?」

サラも「そうね。この石段も久しぶり。あれ?さっき池も神社もなかったよね。」

石丸がキツい顔でキリを睨んだ。「霧島家が池を埋めたの。」

僕は前のめりに「なぜ!どうして霧島家が?

水系の巫女がなぜ池を埋める?」

石丸が「霧島家は神社を持たない。石丸家の陣地を奪いたかったのよね。キリ、そうでしょう。」

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