第114話 人間賀茂VS神様トダ
僕ら地上にみんな脱出完了。丸太郎は僕の肩に乗ったまま。
賀茂は落とし穴から神様達が、次々と脱出してくる光景を見て固まっていた。
「僕の負けか。」
僕は、ぼーぜんと立ち尽くす賀茂に手を伸ばそうとした。
賀茂は素早くかわし、操れている巫女の舞を踊り続けている、石丸とキリの元へ飛んだ。
「勝手はさせない。石丸をキリを消滅させる。」賀茂が叫ぶ。
後ろから神様達の声。
サカキが「トダ、人間の言うことなんか聞くな。
人間が人間を消滅さえても、我々側には何も影響はないぞ。」
サカキの言葉が終わるか否、愛宕が素早く石丸を奪還。
愛宕は「そうだな。人間同士の消滅は我々神様には関係ない。石丸は僕の恋人だ。
彼女は僕が頂く。」
あまりの素早さに賀茂は何もできなかった。
「まあ、いい。トダ、君はどうする?」
僕は機を逃しようだ。
天上界では優秀な生徒の僕が状況判断。
スピード。どう行動すべきか。瞬時に答えを出していた僕が。動けない。どうしたんだ僕。
丸太郎が「どうした、トダ。人間のキリを助けたいのか?」
「どうだろう。はじめから、キリは人間の生け贄として僕が連れて来た。生け贄が、生きようが消滅しようが僕には関係ない。ないはずなのに。丸太郎、カラダの真ん中がズキズキいたむ。天上界から落ちて頭を打った痛みとは、ちがう、いたみだ。なんなんだ。」
「トダ、人間界に長居をしたようだな。わずかな時間、人間界での見聞、神様候補生達の試験だったはずが。俺様、風神丸太郎の監督不行き届きだ。すまないトダ。一度仕切り直しだ。」
丸太郎が大人の神様達の方を向いて、
「この状況では限界のようだ。天上界へ引くぞ。時越頼む。」
時越が尾の長い鳥の姿に変身。長い尾は七色に光、旋回する。光の粉が賀茂家全体を包み込む。次の瞬間光線が。
白いモクモク雲。気づくと僕らは天上界にいた。ヒイラギさんもサラと共にいる。
氷川が、「どうやら戻ったようだ。」
弁天が「これで元のまま。あー疲れた。人間界。これで試験落ちてたら怒る。」
弁天は本当に疲れたようだ。
サラは「トダ、みんな、おばあちゃんと天上界で神様として本来の使命で過ごすことにしたの。」
僕は「よかったなサラ。」
僕らは無事に天上界に戻った。
愛宕は人間の石丸と石丸の時間に寄り添い人間界に残ったようだ。
「丸太郎、愛宕は大丈夫かな?」
「人間の寿命は短い。石丸が消滅したら、こっちへ戻ってくるだろう。」
「そうだな。」
僕は今、元に戻っただけだ。
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