第113話  反撃

「この宴の間はあらかじめ、時空空間を僕が造っておいた。賀茂、お前の陣地だがこの宴の間だけは、僕の陣地だ。さあ反撃といこうか。」

僕は最大力で賀茂やサラ達が造った落とし穴の結界を切って回った。

しかし「くそー、距離が長すぎる。」

賀茂は僕が切った結界を式神を使い修復していく。

もっと力が欲しい。結果内の落とし穴の落ちた大人の神様の力を借りた方が早い。

僕は、あろうことか再び落とし穴の中に自ら入った。

頭上から「トダ諦めか。自ら這い上がれない。落とし穴に落ちて行くとは。俺様、人間の勝ちだ。やっと悲願達成だ。弱った陰陽師の祖母を切り捨てた、非道な神よ。思いしれ。」

賀茂の吐き捨てるような言葉を耳にした。

賀茂の祖母に何があったのか。

今はいい後だ。今は大人の神様達の結界の縄をとくのが先だ。

「ドスン」肩にもこもこが乗った。ひさしぶりの重みだ。

「丸太郎、大丈夫か?」「バカ言え。俺様は大丈夫に決まっている。トダ、お前に心配されるには千年早い。」

「それだけ僕に文句が言えるなら大丈夫だな。当たり前だ。ヒイラギさんも大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です。サカキ君がほら。」手をつないでいる。

愛宕が「トダ、説明しろ。」時越も同じく「説明しろ。」

「本当にみなさんには悪いことをしました。落とし穴を作って大人の神様達を懲らしめようと考えたのは僕です。これは神様候補生への試験の一環だと思われるが、境界線の塔での出来事が神様の僕からしてもひどかった。いくら仮の世界の出来事だとしても白い衣のトダは躊躇なく階段からキリを突き落とした。そうだったな。ニュウ。」

「ごめんなさい。」

「そのあと、僕は人間のキリの記憶を切り取った。階段から落下していく自分の姿なんか誰も記憶に残したくはないはずだ。目撃した人間の記憶も抜き取った。

今、思ったが、たぶん、人間側と神様側では価値観も考えも異なる。きっと賀茂の祖母も何らかの事情があり、キリの落下と同じように神様側と意見の相違があったに違いない。」

丸太郎が「そうだな。わかり合える部分もあるがそうでない部分もたくさんある。溝は埋めれそうだが、完全には正直無理だ。トダ。お前もわかっているだろう。」

「そうだ。その通りだ。」

弁天が「トダ、お前はどっちの味方なんだ。人間かそれとも神様側か。」

「正直今はわからない。ただし、今はこの落とし穴から出る。それが先決だ。」

「そうだな。」

僕らは一気に地上に脱出した。

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